Obsidian タスク運用の最適解:Tasks + Periodic Notes で計画と実行を接続
日々のタスク管理、うまくいっていますか? 「あのタスク、いつやる予定だったっけ?」「今日やるべきことが見えない…」そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。 Obsidian を使っているなら、Tasks プラグインと Periodic Notes プラグインを組み合わせることで、計画と実行を seamless につなぐタスク運用が実現できます。 本記事では、この 2 つのプラグインを活用した最適なタスク運用方法について、初心者の方にもわかりやすく解説していきますね。
背景
Obsidian におけるタスク管理の現状
Obsidian は Markdown ベースのナレッジベースツールとして、多くの人に愛用されています。
Markdown の標準的なタスク記法(- [ ] と - [x])を使えば、どのノートにもタスクを記載できるのが魅力ですね。
しかし、ノートが増えるにつれて「どこに何のタスクを書いたか分からない」「今日やるべきタスクが見えない」という課題が生まれてきます。
Tasks プラグインとは
Tasks プラグインは、Obsidian 内のすべてのタスクを横断的に管理できる強力なプラグインです。 以下のような機能を提供してくれます。
- Vault 全体からタスクを検索・フィルタリング
- 期日、優先度、繰り返しなどのメタデータ管理
- 独自のクエリ言語による柔軟な抽出
- タスクの完了日時の自動記録
Periodic Notes プラグインとは
Periodic Notes プラグインは、日次・週次・月次などの定期的なノートを自動生成するプラグインです。 テンプレートを設定しておくことで、毎日同じフォーマットのデイリーノートが作成されます。
計画を立てる場所、振り返りの場所として活用することで、継続的な習慣を支援してくれるでしょう。
以下の図は、Obsidian における Tasks と Periodic Notes の関係性を示しています。
mermaidflowchart TB
vault["Obsidian Vault<br/>(すべてのノート)"]
tasks["Tasks プラグイン<br/>(タスク管理エンジン)"]
periodic["Periodic Notes<br/>(日次・週次ノート)"]
vault -->|"タスクを抽出"| tasks
tasks -->|"クエリ結果を表示"| periodic
periodic -->|"新規タスク作成"| vault
style tasks fill:#e1f5ff
style periodic fill:#fff4e1
style vault fill:#f0f0f0
図の要点:
- Vault 内のすべてのタスクを Tasks が収集
- Periodic Notes でタスクをフィルタリングして表示
- 日次ノートで新しいタスクを作成し、循環させる
課題
従来のタスク管理における問題点
Obsidian で Tasks プラグインを使わずにタスク管理をしていると、以下のような課題に直面します。
タスクの散在
プロジェクトノート、読書メモ、会議記録など、さまざまな場所にタスクが散らばってしまいますね。 結果として「どこに何を書いたか」を探す時間が増え、タスクの見落としが発生しやすくなります。
期日管理の困難
Markdown の標準タスク記法には期日の概念がありません。 「来週までにやる」と書いても、来週になったときに自動的に通知される仕組みはないのです。
今日やるべきことが見えない
複数のプロジェクトを抱えていると、今日何をすべきかの判断が難しくなります。 各ノートを開いて確認する手間が発生し、計画的な実行が困難になるでしょう。
繰り返しタスクの手間
「毎週月曜日に週報を書く」のような定期タスクを手動で管理するのは面倒です。 完了したら次のタスクを手動で作成する必要があり、運用の負荷が高くなります。
単独利用の限界
Tasks プラグインだけを使う場合、タスクの抽出・管理はできますが、「いつ、どこで計画するか」という運用面が定まりません。 Periodic Notes だけを使う場合、日次ノートは作れますが、タスクの横断的な管理ができないのです。
以下の図は、従来のタスク管理における課題の構造を示しています。
mermaidflowchart LR
scattered["タスクの散在"]
deadline["期日管理困難"]
visibility["可視性の欠如"]
recurring["繰り返し手間"]
scattered --> problem["タスク管理の<br/>非効率化"]
deadline --> problem
visibility --> problem
recurring --> problem
problem --> miss["見落とし発生"]
problem --> stress["ストレス増大"]
problem --> low["生産性低下"]
style problem fill:#ffcccc
style miss fill:#ff9999
style stress fill:#ff9999
style low fill:#ff9999
図の要点:
- 4 つの課題が非効率化を引き起こす
- 見落とし、ストレス、生産性低下という結果につながる
- 構造的な解決策が必要
解決策
Tasks + Periodic Notes の組み合わせ
Tasks プラグインと Periodic Notes プラグインを組み合わせることで、計画と実行をシームレスに接続できます。 この組み合わせの核心は、以下の役割分担にあります。
Tasks プラグインの役割:
- タスクの記録と保存(どこに書いても OK)
- メタデータの管理(期日、優先度、繰り返しなど)
- タスクの横断的な抽出
Periodic Notes の役割:
- 計画の場所の提供(週次ノートで週計画)
- 実行の場所の提供(日次ノートで今日のタスク表示)
- 振り返りの場所の提供(完了タスクの確認)
タスク記法の拡張
Tasks プラグインは、Markdown の標準タスク記法を拡張します。 以下のような記法で、タスクにメタデータを付与できるのです。
markdown- [ ] プロジェクト A の設計書を作成 📅 2025-12-10 ⏫ #project-a
主要なメタデータは以下のとおりです。
| # | メタデータ | 記法 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 1 | 期日 | 📅 YYYY-MM-DD | タスクの期限 |
| 2 | 開始日 | 🛫 YYYY-MM-DD | タスクを開始する日 |
| 3 | スケジュール日 | ⏳ YYYY-MM-DD | タスクに取り組む予定日 |
| 4 | 優先度 | ⏫ 🔼 🔽 | 高・中・低の優先度 |
| 5 | 繰り返し | 🔁 every week | 繰り返しパターン |
| 6 | 完了日 | ✅ YYYY-MM-DD | 完了した日時(自動) |
これらのメタデータを使うことで、Tasks のクエリ言語を使った柔軟な抽出が可能になります。
クエリ言語による抽出
Tasks プラグインの真価は、クエリ言語にあります。
コードブロック内に tasks を指定し、条件を記述することで、該当するタスクを動的に表示できるのです。
基本的なクエリの書き方:
markdown```tasks
not done
due before tomorrow
```
このクエリは「未完了で、明日より前が期日のタスク」を抽出します。
クエリで使える主要な条件:
| # | 条件 | 説明 | 例 |
|---|---|---|---|
| 1 | not done | 未完了タスク | not done |
| 2 | done | 完了済みタスク | done |
| 3 | due | 期日による絞り込み | due today |
| 4 | scheduled | スケジュール日 | scheduled today |
| 5 | starts | 開始日 | starts before tomorrow |
| 6 | priority | 優先度 | priority is high |
| 7 | path includes | パスに含む文字列 | path includes project-a |
| 8 | heading includes | 見出しに含む文字列 | heading includes 会議 |
Periodic Notes での活用パターン
Periodic Notes のテンプレートに Tasks のクエリを埋め込むことで、自動的にタスクリストが表示されます。
日次ノートでの活用
日次ノートには「今日やるべきタスク」を表示します。 開始日、スケジュール日、期日が今日のタスクを抽出することで、今日の行動が明確になりますね。
週次ノートでの活用
週次ノートには「今週の計画」「今週完了したタスク」を表示します。 週の始めに計画を立て、週末に振り返ることで、計画と実行のサイクルが回るでしょう。
以下の図は、Tasks と Periodic Notes を組み合わせたワークフローを示しています。
mermaidflowchart TD
input["タスク入力<br/>(どのノートでも OK)"]
meta["メタデータ付与<br/>(期日・優先度など)"]
weekly["週次ノート<br/>(週計画)"]
daily["日次ノート<br/>(今日のタスク)"]
input --> meta
meta --> tasks_db[("Tasks データベース")]
tasks_db -->|"クエリ: 今週"| weekly
tasks_db -->|"クエリ: 今日"| daily
daily --> execute["タスク実行"]
execute --> check["完了チェック"]
check --> tasks_db
weekly --> review["週次レビュー"]
review --> next_plan["次週計画"]
style tasks_db fill:#e1f5ff
style daily fill:#fff4e1
style weekly fill:#ffe1f5
図で理解できる要点:
- タスクはどこに入力しても Tasks データベースに集約される
- 週次・日次ノートがクエリでタスクを抽出
- 実行と振り返りのサイクルが自然に回る
具体例
ここからは、実際の設定方法とワークフローを段階的に見ていきましょう。
プラグインのインストール
まず、必要なプラグインをインストールします。
手順:
- Obsidian の設定を開く(⚙️ アイコン)
- 「コミュニティプラグイン」→「閲覧」をクリック
- 「Tasks」を検索してインストール・有効化
- 同様に「Periodic Notes」を検索してインストール・有効化
- 「Calendar」プラグインも一緒にインストールすると便利
これで基本的な準備が整いました。
Tasks プラグインの設定
Tasks プラグインの設定を開き、以下の項目を確認します。
グローバルフィルタ:
markdown#task
グローバルフィルタを設定すると、特定のタグが付いたタスクのみを管理対象にできます。 設定しない場合は、Vault 内のすべてのタスクが対象になります。
日付フォーマット:
cssYYYY-MM-DD
ISO 8601 形式を推奨します。 他のツールとの連携がしやすく、並び替えも自然になりますね。
完了日の記録:
「Set done date on every completed task」にチェックを入れます。 タスクを完了したときに、自動的に完了日(✅ YYYY-MM-DD)が追加されるようになります。
Periodic Notes の設定
Periodic Notes プラグインで、日次・週次ノートの設定を行います。
日次ノートの設定:
| # | 項目 | 設定値 |
|---|---|---|
| 1 | Format | YYYY-MM-DD |
| 2 | Folder | daily/ |
| 3 | Template | templates/daily-note.md |
週次ノートの設定:
| # | 項目 | 設定値 |
|---|---|---|
| 1 | Format | YYYY-[W]ww |
| 2 | Folder | weekly/ |
| 3 | Template | templates/weekly-note.md |
これらの設定により、適切な場所に定期ノートが作成されます。
日次ノートのテンプレート作成
templates/daily-note.md ファイルを作成し、以下の内容を記載します。
テンプレートヘッダー部分:
markdown# {{date:YYYY-MM-DD}}
## 今日のタスク
### 期日が今日のタスク
期日が今日のタスクを表示するクエリ:
markdown```tasks
not done
due on {{date:YYYY-MM-DD}}
```
このクエリは、期日が今日のタスクのうち、未完了のものを抽出します。
{{date:YYYY-MM-DD}} は、Periodic Notes が自動的に今日の日付に置き換えてくれますよ。
スケジュールされた今日のタスクを表示するクエリ:
markdown### 今日やると決めたタスク
```tasks
not done
scheduled on {{date:YYYY-MM-DD}}
```
スケジュール日(⏳)を使うことで、「今日やる」と決めたタスクを明示できます。
今日開始するタスクを表示するクエリ:
markdown### 今日から開始するタスク
```tasks
not done
starts on {{date:YYYY-MM-DD}}
```
開始日(🛫)を使って、今日から取り組み始めるタスクを抽出します。
完了したタスクを記録するセクション:
markdown## 完了したタスク
```tasks
done on {{date:YYYY-MM-DD}}
```
その日に完了したタスクを自動的に表示することで、達成感を得られますし、振り返りにも活用できるでしょう。
メモセクション:
markdown## メモ
-
自由にメモを取れるスペースを用意しておきます。
週次ノートのテンプレート作成
templates/weekly-note.md ファイルを作成します。
テンプレートヘッダー部分:
markdown# Week {{date:ww}}, {{date:YYYY}}
## 今週の目標
- [ ]
## 今週のタスク
今週が期日のタスクを表示するクエリ:
markdown```tasks
not done
due after {{monday:YYYY-MM-DD}}
due before {{sunday:YYYY-MM-DD}}
sort by priority
sort by due
```
今週の月曜日から日曜日までに期日があるタスクを、優先度と期日でソートして表示します。
{{monday:YYYY-MM-DD}} は、その週の月曜日の日付に置き換えられます。
今週完了したタスクを表示するクエリ:
markdown## 今週完了したタスク
```tasks
done after {{monday:YYYY-MM-DD}}
done before {{sunday:YYYY-MM-DD}}
```
週末の振り返りで、今週何を達成できたかを確認できます。
タスクの作成例
実際にタスクを作成してみましょう。
プロジェクトノートでのタスク作成:
markdown# プロジェクト A
## タスク
- [ ] 要件定義書の作成 📅 2025-12-08 ⏫ #project-a
- [ ] UI モックアップの作成 🛫 2025-12-10 📅 2025-12-15 #project-a
- [ ] データベース設計 ⏳ 2025-12-12 📅 2025-12-20 #project-a
このようにプロジェクトノートにタスクを書いておけば、日次・週次ノートで自動的に表示されます。
会議メモでのタスク作成:
markdown# 2025-12-04 週次ミーティング
## 決定事項
- プロジェクト A を優先して進める
## アクションアイテム
- [ ] プロジェクトマネージャーに進捗報告 📅 2025-12-06 #meeting
- [ ] チームメンバーへのタスク割り振り ⏳ 2025-12-05 #meeting
会議で決まったアクションアイテムも、期日を設定しておけば忘れずに実行できますね。
繰り返しタスクの作成:
markdown- [ ] 週報を書く 📅 2025-12-09 🔁 every Monday #routine
- [ ] 月次レビューを実施 📅 2025-12-31 🔁 every month on the last day #routine
繰り返し記法(🔁)を使うことで、完了すると自動的に次回のタスクが生成されます。
実際のワークフロー
このシステムを使った日々のワークフローを見てみましょう。
朝のルーティン:
- カレンダープラグインで今日の日次ノートを開く
- 「今日のタスク」セクションを確認
- 優先順位を考えながらタスクに取り組む
タスク実行中:
- タスクを実行
- 完了したらチェックボックスをクリック
- 自動的に完了日が記録される
週の始め(月曜日):
- 週次ノートを開く
- 「今週の目標」を設定
- 「今週のタスク」を確認して計画を立てる
週末(日曜日):
- 週次ノートの「今週完了したタスク」を確認
- 振り返りを記載
- 次週の計画を考える
以下の図は、1 週間のワークフローサイクルを示しています。
mermaidstateDiagram-v2
[*] --> 月曜朝: 週開始
月曜朝 --> 週次計画: 週次ノート作成
週次計画 --> 日次実行: 計画完了
日次実行 --> 日次実行: 火〜金<br/>日次ノートで実行
日次実行 --> 週末振返: 金曜夜
週末振返 --> 次週準備: 振り返り完了
次週準備 --> [*]: 週終了
note right of 月曜朝
今週のタスク確認
目標設定
end note
note right of 日次実行
日次ノートで
今日のタスク実行
end note
note right of 週末振返
完了タスク確認
達成度評価
end note
図で理解できる要点:
- 週の始めに計画、平日に実行、週末に振り返り
- 日次ノートで毎日のタスクを管理
- サイクルを回すことで継続的改善
高度な活用例
さらに便利に使うための高度なクエリ例を紹介します。
優先度が高く、期日が近いタスク:
markdown```tasks
not done
priority is high
due before in 3 days
sort by due
```
優先度が高く、3 日以内に期日が来るタスクを抽出します。 緊急度の高いタスクに集中できますね。
特定プロジェクトの進行中タスク:
markdown```tasks
not done
path includes project-a
starts before today
sort by priority
```
プロジェクト A フォルダ内のタスクで、既に開始しているものを優先度順に表示します。
今日完了できなかったタスク:
markdown```tasks
not done
(due before today) OR (scheduled before today)
sort by due
```
期日やスケジュールが過去のタスクを抽出します。 これらを見直して、リスケジュールするか判断できるでしょう。
Dataview との連携
Dataview プラグインと組み合わせると、さらに柔軟なタスク管理が可能になります。
Dataview でタスクを集計:
markdown```dataview
TASK
WHERE !completed
WHERE due
GROUP BY file.folder
```
フォルダごとに未完了タスクをグループ化して表示できます。
ただし、Tasks プラグインのクエリの方が直感的で初心者向けですので、まずは Tasks から始めることをお勧めしますよ。
まとめ
Tasks プラグインと Periodic Notes プラグインを組み合わせることで、Obsidian が強力なタスク管理システムに変わります。
この運用方法の利点:
- タスクをどこに書いても、自動的に収集される
- 日次・週次ノートで計画と実行が自然につながる
- 期日、優先度、繰り返しなどを柔軟に管理できる
- 振り返りが自動化され、継続的改善が可能になる
- すべてが Markdown で完結し、データの移行性が高い
導入のポイント:
- まずは日次ノートのテンプレートから始めましょう
- シンプルなクエリから使い始め、徐々に高度な活用へ
- 自分の作業スタイルに合わせてカスタマイズする
- 完璧を求めず、使いながら改善していく
運用を成功させるコツ:
- 毎朝、日次ノートを開く習慣をつける
- タスク作成時に期日を必ず設定する
- 週末に振り返りの時間を確保する
- テンプレートは定期的に見直して改善する
Obsidian でのタスク管理は、この 2 つのプラグインの組み合わせによって、単なるタスクリストから「計画と実行を接続するシステム」へと進化します。 ぜひ今日から試してみて、自分だけの最適なワークフローを作り上げてくださいね。
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