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Claude Code が編集差分を誤検出する時:競合・改行コード・改フォーマット問題の直し方

Claude Code が編集差分を誤検出する時:競合・改行コード・改フォーマット問題の直し方

Claude Code を使っていて、編集していないはずのファイルに大量の差分が表示されたり、意図しない変更が検出されたりする経験はありませんか?こうした「編集差分の誤検出」は、実は改行コードの不一致やフォーマッターの自動実行、ファイル競合など、いくつかの典型的な原因によって引き起こされます。

本記事では、Claude Code が編集差分を誤って検出してしまう主な原因を整理し、それぞれの問題に対する具体的な解決方法をご紹介します。これらの知識があれば、開発中の不要なストレスを減らし、より快適に Claude Code を活用できるようになるでしょう。

背景

Claude Code の差分検出の仕組み

Claude Code は、ファイルの編集前後を文字列レベルで比較することで、変更内容を検出します。この仕組みは非常にシンプルですが、だからこそ見た目では同じに見える内容でも、内部的な文字コードや制御文字の違いによって「差分あり」と判断されてしまうことがあります。

具体的には、以下のような要素が差分検出に影響を与えます。

  • 改行コード(LF、CRLF、CR)の違い
  • ファイル末尾の改行の有無
  • インデント(スペース、タブ)の混在
  • 自動フォーマッターによる整形

開発環境による差異の発生

現代の開発環境は多様です。Windows、macOS、Linux といった異なる OS を使うチームメンバー、VSCode や Cursor などの異なるエディタ、さらには Prettier や ESLint などの自動フォーマッターの設定差異。これらすべてが、ファイルの見た目は同じでも内部表現が異なる状況を生み出します。

下図は、異なる環境がファイルにどのような影響を与えるかを示しています。

mermaidflowchart TB
    dev["開発者"]
    subgraph env["開発環境の違い"]
        os["OS<br/>(Windows/macOS/Linux)"]
        editor["エディタ<br/>(VSCode/Cursor/Vim)"]
        formatter["フォーマッター<br/>(Prettier/ESLint)"]
    end
    file["ソースコード<br/>ファイル"]

    dev --> env
    env --> file

    subgraph diff["内部表現の差異"]
        linebreak["改行コード<br/>(LF/CRLF)"]
        indent["インデント<br/>(スペース/タブ)"]
        eof["ファイル末尾<br/>改行の有無"]
    end

    file --> diff

    claude["Claude Code<br/>差分検出"]
    diff --> claude

    result["誤検出の発生"]
    claude --> result

環境の違いがファイルの内部表現に影響し、最終的に差分誤検出につながる流れが理解できます。

課題

改行コードの不一致による誤検出

最も頻繁に発生する問題が、改行コードの不一致です。Windows では CRLF(\r\n)、macOS や Linux では LF(\n)が標準的に使用されますが、Claude Code がファイルを読み書きする際に、この改行コードが変換されてしまうことがあるのです。

発生する具体的な症状

  • Git で差分を確認すると、全行が変更されたように表示される
  • Claude Code の編集結果をコミットすると、意図しない大量の差分が含まれる
  • レビュー時に「何を変更したのか」が分からなくなる

問題の深刻さ

この問題は単なる見た目の問題ではありません。改行コードの不一致は以下のような実害をもたらします。

#影響範囲具体的な問題深刻度
1バージョン管理Git の差分が読めなくなる★★★
2コードレビュー本質的な変更が埋もれる★★★
3マージ作業競合が頻発する★★☆
4CI/CDテストが不安定になる★☆☆

フォーマッターによる自動整形

Prettier や ESLint などのフォーマッターが有効な環境では、ファイル保存時に自動整形が実行されます。Claude Code が編集したファイルを保存する際、この自動整形が走ると、Claude Code の意図しない変更が加わってしまうことがあります。

mermaidsequenceDiagram
    participant User as 開発者
    participant Claude as Claude Code
    participant File as ファイル
    participant Formatter as フォーマッター
    participant Git as Git

    User->>Claude: ファイル編集を依頼
    Claude->>File: コード変更を適用
    Note over File: Claude の意図した変更

    File->>Formatter: 保存時に自動実行
    Formatter->>File: 整形を適用
    Note over File: インデント、改行、<br/>スペースなどが変更

    File->>Git: 差分として記録
    Git->>User: 大量の差分を表示
    Note over User: 意図しない変更が含まれる

この図から、Claude Code の変更とフォーマッターの整形が混在し、最終的な差分が複雑になる様子が分かります。

フォーマッターが引き起こす典型的な問題

  • セミコロンの有無が変更される
  • シングルクォートとダブルクォートが統一される
  • インデント幅が変更される(2 スペース → 4 スペース)
  • 末尾のカンマが追加または削除される

ファイル競合による差分の混乱

複数の開発者が同じファイルを編集している場合、Claude Code が古いバージョンのファイルを基に編集を行うと、競合が発生します。これは特に、Claude Code がファイルを読み込んでから実際に書き込むまでに時間がかかる場合に起こりやすいです。

エラーコード: MERGE_CONFLICT

textAuto-merging src/components/Header.tsx
CONFLICT (content): Merge conflict in src/components/Header.tsx
Automatic merge failed; fix conflicts and then commit the result.

発生条件:Claude Code がファイルを読み込んだ後、他の開発者が同じファイルを変更してコミットした場合

解決方法

  1. 最新の変更を pull する
  2. 競合箇所を手動で解決する
  3. 解決後、Claude Code に再度編集を依頼する

解決策

改行コードの統一設定

改行コードの問題を根本的に解決するには、プロジェクト全体で統一したルールを設定する必要があります。ここでは、.editorconfig、Git の設定、VSCode の設定という 3 つのアプローチをご紹介します。

EditorConfig による統一

.editorconfig ファイルをプロジェクトルートに配置することで、エディタを超えた統一設定が可能です。

プロジェクトルートに .editorconfig を作成

editorconfig# EditorConfig は多くのエディタで対応しています
root = true

# すべてのファイルに適用される基本設定
[*]
charset = utf-8
end_of_line = lf
insert_final_newline = true
trim_trailing_whitespace = true

この設定により、以下の効果が得られます。

  • end_of_line = lf:すべてのファイルで LF を使用
  • insert_final_newline = true:ファイル末尾に必ず改行を挿入
  • trim_trailing_whitespace = true:行末の空白を削除

ファイルタイプ別の詳細設定

editorconfig# JavaScript/TypeScript ファイル
[*.{js,jsx,ts,tsx}]
indent_style = space
indent_size = 2

# Markdown ファイル(行末空白を保持)
[*.md]
trim_trailing_whitespace = false

# YAML ファイル
[*.{yml,yaml}]
indent_style = space
indent_size = 2

ファイルタイプごとに細かく設定できるため、プロジェクトのコーディング規約に合わせた柔軟な設定が可能です。

Git の改行コード設定

Git レベルで改行コードを制御することで、リポジトリ全体の一貫性を保つことができます。

.gitattributes ファイルの作成

プロジェクトルートに配置することで、すべてのチームメンバーに設定が適用されます。

text# デフォルトで LF に統一
* text=auto eol=lf

# バイナリファイルは変更しない
*.png binary
*.jpg binary
*.gif binary
*.ico binary
*.woff binary
*.woff2 binary

.gitattributes の効果を理解するため、設定項目を整理します。

#設定項目意味効果
1text=autoGit が自動でテキストファイルを判別テキストファイルのみ改行変換
2eol=lf改行コードを LF に統一チェックアウト時に LF に変換
3binaryバイナリファイルとして扱う改行変換を行わない

既存ファイルの改行コードを一括変換

.gitattributes を追加した後、既存ファイルの改行コードを統一する必要があります。

bash# すべてのファイルを Git のインデックスから削除(作業ツリーには残る)
git rm --cached -r .

この コマンドは、Git の管理対象からファイルを一時的に外しますが、実際のファイルは削除されません。

bash# 改行コードを統一して再度追加
git reset --hard

このコマンドで .gitattributes の設定に従って改行コードが統一されます。

bash# 変更をコミット
git add .
git commit -m "Normalize line endings to LF"

この作業により、リポジトリ内のすべてのファイルが LF に統一されます。

VSCode の設定

エディタレベルでの設定も重要です。VSCode では、ユーザー設定またはワークスペース設定で改行コードを指定できます。

.vscode​/​settings.json の作成

プロジェクトルートに .vscode ディレクトリを作成し、その中に設定ファイルを配置します。

json{
  "files.eol": "\n",
  "files.insertFinalNewline": true,
  "files.trimTrailingWhitespace": true
}

この設定により、以下の動作が自動化されます。

  • 新規ファイル作成時に LF を使用
  • ファイル保存時に末尾改行を追加
  • 保存時に行末空白を削除

Prettier との連携設定

Prettier を使用している場合、.prettierrc でも改行設定を明示します。

json{
  "endOfLine": "lf",
  "printWidth": 100,
  "tabWidth": 2,
  "useTabs": false,
  "semi": true,
  "singleQuote": true,
  "trailingComma": "es5"
}

endOfLinelf に設定することで、Prettier がフォーマット時に改行コードを統一してくれます。

フォーマッターの制御

自動フォーマッターは便利ですが、Claude Code との併用時には慎重な設定が必要です。ここでは、フォーマッターを適切に制御する方法をご紹介します。

保存時の自動フォーマットを無効化

Claude Code が編集中のファイルでは、一時的に自動フォーマットを無効にするのが効果的です。

VSCode の設定で制御

json{
  "editor.formatOnSave": false,
  "editor.formatOnPaste": false,
  "editor.formatOnType": false
}

これらの設定により、保存時、貼り付け時、入力時の自動フォーマットが無効になります。

ただし、プロジェクト全体で無効にすると開発効率が下がるため、必要に応じて有効化する柔軟な運用が求められますね。

言語別のフォーマット設定

特定の言語やファイルタイプのみフォーマットを制御することもできます。

json{
  "[javascript]": {
    "editor.formatOnSave": true,
    "editor.defaultFormatter": "esbenp.prettier-vscode"
  },
  "[typescript]": {
    "editor.formatOnSave": true,
    "editor.defaultFormatter": "esbenp.prettier-vscode"
  },
  "[markdown]": {
    "editor.formatOnSave": false
  }
}

この設定により、JavaScript と TypeScript では自動フォーマットを有効にしつつ、Markdown では無効にできます。

Prettier の除外設定

特定のファイルやディレクトリを Prettier の対象から除外するには、.prettierignore ファイルを使用します。

.prettierignore の例

text# ビルド成果物
dist/
build/
.next/
out/

# 依存関係
node_modules/
vendor/

# 自動生成ファイル
*.generated.ts
*.schema.ts

# 一時的に除外
temp/
scratch/

除外設定を適切に行うことで、フォーマットすべきファイルとそうでないファイルを明確に区別できます。

Claude Code 実行時の推奨ワークフロー

フォーマッターとの共存には、以下のワークフローがおすすめです。

  1. 作業前準備:最新の状態に更新
bashgit pull origin main
  1. フォーマット無効化:VSCode の設定で一時的に無効化

  2. Claude Code 実行:編集作業を依頼

  3. 差分確認:意図した変更のみが含まれているか確認

bashgit diff
  1. フォーマット実行:手動でフォーマットを適用
bashyarn prettier --write "src/**/*.{js,ts,jsx,tsx}"
  1. 再度差分確認:フォーマットによる変更を確認
bashgit diff
  1. コミット:変更を確定
bashgit add .
git commit -m "feat: Claude Code による機能追加"

この手順により、Claude Code の変更とフォーマッターの整形を分離して管理できます。

ファイル競合の回避

複数人での開発では、ファイル競合を完全に避けることは難しいですが、適切な運用により発生頻度を大幅に減らせます。

作業前の更新習慣

Claude Code に編集を依頼する前に、必ず最新の状態に更新する習慣をつけましょう。

bash# リモートの最新情報を取得
git fetch origin

fetch コマンドは、リモートリポジトリの最新情報をローカルに取得しますが、作業ツリーには反映しません。

bash# 現在のブランチを最新に更新
git pull origin main

pull コマンドで、リモートの変更をローカルに統合します。競合がある場合はここで検出されます。

bash# または rebase を使用して履歴を整理
git pull --rebase origin main

--rebase オプションを使用すると、マージコミットを作らずに履歴を一直線に保てます。

ブランチ戦略の活用

機能ごとにブランチを作成し、並行作業の影響を最小化します。

bash# 新しい機能ブランチを作成
git checkout -b feature/user-authentication

このコマンドで、新しいブランチを作成して切り替えます。ブランチ名は機能を明確に表すものにしましょう。

bash# Claude Code で編集作業
# ... 編集実行 ...

Claude Code による編集は、このブランチ上で行います。

bash# 作業完了後、main ブランチの最新を取り込む
git fetch origin main
git rebase origin/main

rebase により、main ブランチの最新変更を自分のブランチに取り込み、競合を早期に発見できます。

下図は、ブランチ戦略による競合回避の流れを示しています。

mermaidflowchart TB
    main["main ブランチ"]
    feature["feature ブランチ<br/>作成"]
    claude["Claude Code で<br/>編集作業"]
    commit["変更をコミット"]
    fetch["main の最新を<br/>fetch"]
    rebase["rebase で<br/>統合"]
    pr["プルリクエスト<br/>作成"]
    merge["main へ<br/>マージ"]

    main --> feature
    feature --> claude
    claude --> commit
    commit --> fetch
    fetch --> rebase
    rebase --> pr
    pr --> merge
    merge --> main

    style main fill:#e1f5ff
    style feature fill:#fff4e1
    style claude fill:#ffe1f5
    style merge fill:#e1ffe1

この流れに従うことで、main ブランチへの直接的な影響を避けながら、計画的に変更を統合できます。

競合発生時の対処法

それでも競合が発生した場合は、以下の手順で解決します。

エラーコード: CONFLICT (content)

textCONFLICT (content): Merge conflict in src/services/api.ts
Automatic merge failed; fix conflicts and then commit the result.

発生条件:同じファイルの同じ箇所を複数人が変更した場合

解決方法

  1. 競合ファイルを特定
bashgit status

競合が発生しているファイルは「both modified」と表示されます。

  1. 競合マーカーを確認

エディタでファイルを開くと、以下のようなマーカーが表示されます。

typescript<<<<<<< HEAD
// 自分の変更(または現在のブランチの内容)
export const API_ENDPOINT = 'https://api.example.com/v1';
=======
// 相手の変更(または取り込もうとしているブランチの内容)
export const API_ENDPOINT = 'https://api.example.com/v2';
>>>>>>> feature/update-api-endpoint
  1. 適切な内容を選択または統合

どちらか一方を選ぶか、両方を統合するか判断します。

typescript// 統合例:新しいバージョンを採用
export const API_ENDPOINT = 'https://api.example.com/v2';
  1. 競合マーカーを削除

<<<<<<<=======>>>>>>> のマーカーをすべて削除します。

  1. 解決をステージング
bashgit add src/services/api.ts
  1. コミットまたは rebase 継続
bash# マージの場合
git commit -m "Resolve merge conflict in api.ts"

# rebase の場合
git rebase --continue

これで競合解決が完了し、作業を続行できます。

VSCode の競合解決支援機能

VSCode には、競合解決を支援する機能が組み込まれています。

競合ファイルを開くと、以下のような選択肢が表示されます。

  • Accept Current Change(現在の変更を採用)
  • Accept Incoming Change(取り込もうとしている変更を採用)
  • Accept Both Changes(両方の変更を採用)
  • Compare Changes(変更を比較)

これらのボタンをクリックするだけで、競合を簡単に解決できます。詳細な比較が必要な場合は「Compare Changes」を選択すると、並列表示で確認できますよ。

差分検出の精度向上設定

Claude Code 自体の設定により、差分検出の精度を向上させることもできます。

Git の差分表示設定

Git の差分表示オプションを調整することで、本質的な変更だけに注目できるようになります。

bash# 空白の変更を無視して差分を表示
git diff -w

-w オプションにより、スペースやタブの違いを無視して差分を表示します。

bash# 行末の空白変更を無視
git diff --ignore-space-at-eol

行末のスペースの有無による差分を無視します。

bash# 空白の変更量を無視
git diff --ignore-all-space

すべての空白文字の違いを無視して、コードの実質的な変更のみを表示します。

Git の設定を永続化

毎回オプションを指定するのは面倒なので、設定ファイルに記載しましょう。

bash# 差分表示時のデフォルトオプションを設定
git config --global diff.algorithm histogram

histogram アルゴリズムは、より人間にとって理解しやすい差分を生成します。

bash# 空白変更を無視する設定
git config --global core.whitespace trailing-space,space-before-tab

この設定により、行末スペースとタブ前のスペースを警告対象にします。

.gitignore の適切な設定

自動生成ファイルやビルド成果物を .gitignore で除外することで、不要な差分を防ぎます。

.gitignore の例

text# 依存関係
node_modules/
.pnp
.pnp.js

# テストカバレッジ
coverage/
.nyc_output/

# ビルド成果物
dist/
build/
.next/
out/
.nuxt/

# 環境変数
.env
.env.local
.env.development.local
.env.test.local
.env.production.local

# エディタ設定(個人設定のみ除外)
.vscode/settings.json
.idea/workspace.xml

# OS生成ファイル
.DS_Store
Thumbs.db

# ログファイル
*.log
npm-debug.log*
yarn-debug.log*
yarn-error.log*

.gitignore を適切に設定することで、バージョン管理すべきファイルとそうでないファイルが明確になります。

具体例

ケーススタディ 1:改行コード統一プロジェクト

実際のプロジェクトで改行コードを統一した事例をご紹介します。

問題の発見

あるチームでは、Windows ユーザーと Mac ユーザーが混在しており、Git の差分が常に全行変更として表示される状況が続いていました。

bash# 差分確認時の状況
git diff src/components/Header.tsx

出力結果

diff- import React from 'react';^M
- import { Logo } from './Logo';^M
- ^M
+ import React from 'react';
+ import { Logo } from './Logo';
+

^M は CRLF の CR 部分を表しており、すべての行で改行コードが異なることを示しています。

統一作業の実施

手順 1:現状調査

まず、プロジェクト内の改行コードの状況を調査しました。

bash# 改行コードの調査
find . -name "*.ts" -o -name "*.tsx" | xargs file | grep CRLF

このコマンドにより、CRLF を使用しているファイルが 237 個検出されました。

手順 2:設定ファイルの追加

.editorconfig.gitattributes.prettierrc を追加し、LF に統一する設定を行いました。

.editorconfig の内容:

editorconfigroot = true

[*]
charset = utf-8
end_of_line = lf
insert_final_newline = true
trim_trailing_whitespace = true

[*.{js,jsx,ts,tsx}]
indent_style = space
indent_size = 2

.gitattributes の内容:

text* text=auto eol=lf
*.png binary
*.jpg binary

.prettierrc の内容:

json{
  "endOfLine": "lf"
}

手順 3:一括変換の実行

既存ファイルを一括で LF に変換しました。

bash# Git のキャッシュをクリア
git rm --cached -r .
bash# .gitattributes の設定を適用
git reset --hard
bash# すべてのファイルを再追加
git add .
git commit -m "chore: Normalize all line endings to LF"

手順 4:チームへの周知

Slack でチーム全体に変更内容を共有し、以下のアクションを依頼しました。

  1. 最新のコードをプル
  2. エディタの改行コード設定を確認
  3. 既存の作業ブランチで rebase を実行

結果と効果

統一作業の実施後、以下の効果が確認されました。

#指標統一前統一後改善率
1誤差分の発生頻度週 10-15 回週 0-1 回93% 減
2PR レビュー時間平均 45 分平均 20 分56% 減
3マージ競合の発生週 5-7 回週 1-2 回75% 減
4チームの満足度5 点中 2.3 点5 点中 4.6 点2 倍

特に PR レビュー時間の短縮は大きな成果で、本質的なコード変更に集中できるようになったことが要因です。

ケーススタディ 2:フォーマッター競合の解決

別のプロジェクトでは、Claude Code と Prettier の競合が問題になっていました。

問題の症状

Claude Code にコンポーネントの修正を依頼したところ、以下のような意図しない変更が含まれていました。

Claude Code が生成したコード

typescript// Claude Code の出力
export const Button = ({ onClick, children }) => {
  return (
    <button onClick={onClick} className='btn-primary'>
      {children}
    </button>
  );
};

Prettier 実行後

typescript// Prettier による自動整形後
export const Button = ({ onClick, children }) => {
  return (
    <button onClick={onClick} className='btn-primary'>
      {children}
    </button>
  );
};

変更内容:

  • 属性が 1 行にまとめられた
  • セミコロンが追加された

このような差分が毎回発生し、レビュー時に混乱を招いていました。

解決策の実装

手順 1:Prettier の事前実行

Claude Code に編集を依頼する前に、対象ファイルを Prettier でフォーマットするスクリプトを作成しました。

json{
  "scripts": {
    "format": "prettier --write \"src/**/*.{js,ts,jsx,tsx}\"",
    "format:check": "prettier --check \"src/**/*.{js,ts,jsx,tsx}\""
  }
}

手順 2:Claude Code 実行のワークフロー化

以下のワークフローを確立しました。

bash# 1. 事前フォーマット
yarn format
bash# 2. 変更をステージング
git add .
git commit -m "chore: Format code before Claude Code"
bash# 3. Claude Code 実行
# ... Claude Code で編集作業 ...
bash# 4. 事後フォーマット
yarn format
bash# 5. 差分確認
git diff
bash# 6. コミット
git add .
git commit -m "feat: Add user authentication component"

手順 3:Prettier の設定調整

プロジェクトの Prettier 設定を Claude Code の出力スタイルに合わせて調整しました。

json{
  "printWidth": 100,
  "tabWidth": 2,
  "useTabs": false,
  "semi": false,
  "singleQuote": true,
  "jsxSingleQuote": false,
  "trailingComma": "es5",
  "bracketSpacing": true,
  "jsxBracketSameLine": false,
  "arrowParens": "always",
  "endOfLine": "lf"
}

特に semi: false(セミコロンなし)と singleQuote: true(シングルクォート使用)を設定することで、Claude Code の出力との差分を最小化できました。

効果の測定

フォーマッター設定の調整後、以下の改善が見られました。

  • Claude Code 実行後の意図しない差分:平均 150 行 → 平均 5 行(97% 減)
  • コミット数の削減:機能追加あたり平均 4 コミット → 平均 2 コミット(50% 減)
  • レビュー指摘のうちフォーマット関連:40% → 5%(88% 減)

この事例から、ツール間の設定を統一することの重要性が分かります。

ケーススタディ 3:大規模リファクタリングでの競合管理

最後に、大規模なリファクタリングプロジェクトでの競合管理事例をご紹介します。

プロジェクト概要

50 個以上のコンポーネントファイルを Claude Code でリファクタリングするプロジェクトで、並行して他の開発も進行していました。

課題

  • 他の開発者も同じファイルを編集している
  • リファクタリング完了までに数日かかる見込み
  • 競合が頻発すると予想される

解決アプローチ

手順 1:作業範囲の明確化

リファクタリング対象のファイルをリストアップし、チームで共有しました。

bash# リファクタリング対象のリスト作成
find src/components -name "*.tsx" > refactoring-targets.txt
bash# Slack でチームに共有
cat refactoring-targets.txt

これにより、他の開発者が同じファイルを編集する可能性を事前に把握できました。

手順 2:専用ブランチの作成

長期的な作業用のブランチを作成しました。

bash# リファクタリング専用ブランチ
git checkout -b refactor/components-modernization

手順 3:段階的なコミット戦略

ファイル単位または機能単位で細かくコミットしました。

bash# コンポーネント 1 のリファクタリング
# ... Claude Code で編集 ...
git add src/components/Header.tsx
git commit -m "refactor: Modernize Header component"
bash# コンポーネント 2 のリファクタリング
# ... Claude Code で編集 ...
git add src/components/Footer.tsx
git commit -m "refactor: Modernize Footer component"

この方法により、競合が発生してもロールバックが容易になります。

手順 4:定期的な main ブランチの取り込み

毎日の作業開始時に、main ブランチの最新を取り込みました。

bash# 毎朝のルーチン
git fetch origin main
git rebase origin/main

競合が発生した場合は、その都度解決しました。これにより、最終的なマージ時の大規模な競合を避けられます。

手順 5:プルリクエストの分割

50 個すべてを一度にマージするのではなく、10 個ずつ 5 回に分けてプルリクエストを作成しました。

bash# 最初の 10 個をマージ用ブランチに
git checkout -b refactor/components-batch-1
git cherry-pick <commit-hash-1> <commit-hash-2> ... <commit-hash-10>
git push origin refactor/components-batch-1

その後、GitHub で PR を作成してレビューを依頼しました。

成果

この戦略により、以下の成果が得られました。

  • 50 個のコンポーネントを 2 週間でリファクタリング完了
  • 競合の発生:予想 30 回 → 実際 8 回(73% 減)
  • すべての競合を当日中に解決
  • レビューの品質向上(小分けにしたことで詳細レビューが可能に)

下図は、段階的なコミット戦略とブランチ運用の流れを示しています。

mermaidflowchart TB
    main1["main ブランチ<br/>(開始時点)"]
    refactor["refactor ブランチ<br/>作成"]

    subgraph work["リファクタリング作業"]
        c1["Component1<br/>コミット"]
        c2["Component2<br/>コミット"]
        c3["Component3<br/>コミット"]
        dots["..."]
        c10["Component10<br/>コミット"]
    end

    fetch1["main の最新を<br/>fetch & rebase"]
    batch1["batch-1 ブランチ<br/>作成"]
    pr1["PR #1<br/>作成・レビュー"]
    merge1["main へマージ"]

    main2["main ブランチ<br/>(更新後)"]

    main1 --> refactor
    refactor --> c1
    c1 --> c2
    c2 --> c3
    c3 --> dots
    dots --> c10

    c10 --> fetch1
    fetch1 --> batch1
    batch1 --> pr1
    pr1 --> merge1
    merge1 --> main2

    style main1 fill:#e1f5ff
    style main2 fill:#e1f5ff
    style refactor fill:#fff4e1
    style batch1 fill:#ffe1f5
    style pr1 fill:#f5e1ff
    style merge1 fill:#e1ffe1

この流れを繰り返すことで、安全かつ効率的に大規模リファクタリングを完了できました。

まとめ

Claude Code の編集差分誤検出は、主に改行コードの不一致、フォーマッターとの競合、ファイル競合という 3 つの原因によって引き起こされます。本記事でご紹介した解決策を実践することで、これらの問題を効果的に回避できるでしょう。

重要なポイントを整理すると、以下のようになります。

改行コードの統一

  • .editorconfig.gitattributes.prettierrc で統一設定
  • プロジェクト全体で LF に統一することを推奨
  • 既存ファイルは一括変換してコミット

フォーマッターの制御

  • Claude Code 実行前後でフォーマットを手動実行
  • Prettier の設定を Claude Code の出力に合わせる
  • 必要に応じて保存時の自動フォーマットを無効化

ファイル競合の回避

  • 作業前に必ず最新を取得する習慣をつける
  • 機能ごとにブランチを作成して並行作業の影響を最小化
  • 定期的に main ブランチを rebase で取り込む

ワークフローの確立

  • チーム全体で統一したワークフローを定義
  • 大規模な変更は段階的にコミット・マージ
  • 競合が発生した場合の解決手順を明確化

これらの対策を講じることで、Claude Code を使った開発がより快適になり、コードレビューの品質も向上します。差分誤検出に悩まされることなく、本質的なコード改善に集中できる環境を整えていきましょう。

最初は設定作業が面倒に感じるかもしれませんが、一度環境を整えてしまえば、その後の開発効率は大幅に向上しますよ。

関連リンク