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人が輝く瞬間を目撃せよ!『新 コーチングが人を活かす』鈴木義幸

人が輝く瞬間を目撃せよ!『新 コーチングが人を活かす』鈴木義幸

今回は鈴木義幸さんが執筆された『新 コーチングが人を活かす』を紹介します。 コーチングという言葉はよく耳にするけれど、実際にどう実践すればいいのか迷ったことはありませんか?

この本は、そんな疑問に明確な答えを与えてくれる一冊です。 単なる理論本ではなく、実際に人を活かし、組織を変革する力を秘めたコーチングの真髄を教えてくれます。

この本の概要

本書は、日本のコーチング界の第一人者である鈴木義幸さんが、長年の実践と研究を通じて体系化したコーチングメソッドを惜しみなく公開している名著です。

従来の「教える・指導する」スタイルから、「引き出す・支援する」スタイルへの転換の重要性を説きながら、具体的な実践方法まで丁寧に解説されています。

新 コーチングが人を活かす 鈴木 義幸 (著)

新 コーチングが人を活かす 鈴木 義幸 (著)

コーチングとは何か?従来の指導との違い

コーチングの本質は「答えは相手の中にある」という前提に立つことです。 これは従来の指導法との根本的な違いを表しています。

従来の指導法の特徴:

  • 上司が答えを持っていて、部下に教える
  • 知識やスキルの一方向的な伝達
  • 短期的な問題解決に重点
  • 依存関係を生みやすい構造

コーチングアプローチの特徴:

  • 相手の中にある答えを引き出す
  • 対話を通じた双方向的な気づきの促進
  • 長期的な成長と自立を重視
  • 自発的な行動を促す関係性

この違いを理解することで、なぜ多くのリーダーが部下育成に悩むのかが見えてきます。 答えを教えるだけでは、その場しのぎの解決にしかならないんですね。

新時代に求められるリーダーシップスタイル

現代の働き手は、昔とは大きく価値観が変わっています。 多様性を重視し、自分らしい働き方を求める時代になりました。

現代の働き手の特徴:

  • 自己実現への強い欲求
  • 意味のある仕事への価値
  • ワークライフバランスの重視
  • 個性や創造性の発揮を望む

こうした変化に対応するには、従来の命令・統制型のリーダーシップでは限界があります。 人それぞれの価値観や強みを理解し、それを活かす関わり方が求められているのです。

人を活かすコーチングの基本原理

鈴木さんが提唱するコーチングの基本原理は、次の 3 つの柱で構成されています。

1. 人間への信頼

  • すべての人は無限の可能性を持っている
  • 自分で答えを見つける力がある
  • 成長し続ける存在である

2. 関係性の質

  • 安心して話せる環境づくり
  • 相互尊重の関係性
  • 率直なフィードバックが可能な信頼関係

3. 未来志向のアプローチ

  • 過去の失敗にとらわれない
  • 可能性に焦点を当てる
  • 小さな一歩から始める勇気

これらの原理を理解することで、コーチングが単なるテクニックではなく、人間観そのものに根ざしたアプローチであることがわかります。

コーチングの基本スキル

傾聴の技術

コーチングの基盤となるのが傾聴スキルです。 ただ話を聞くのではなく、相手の言葉の奥にある気持ちや想いを受け取ることが重要です。

効果的な傾聴のポイント:

  • 相手の話を途中で遮らない
  • 自分の意見や判断を控える
  • 相手の感情や価値観に共感する
  • 非言語コミュニケーションにも注意を払う
  • 沈黙を恐れない

私も実践してみて驚いたのですが、本当に相手の話を聞くことで、相手が自分で答えにたどり着く瞬間が必ずあるんです! それまで悩んでいた表情が、急に明るくなる瞬間を何度も目撃しました。

質問力の向上

コーチングにおける質問は、相手の思考を深め、新たな気づきを促すための強力なツールです。

効果的な質問の種類:

  • 拡大質問: 「他にはどんな方法がありますか?」
  • 具体化質問: 「具体的にはどういうことですか?」
  • 価値観質問: 「それはあなたにとってなぜ重要なのですか?」
  • 未来質問: 「理想的な状態はどのようなものですか?」
  • 行動質問: 「最初の一歩として何ができますか?」

質問は相手を詰問するためのものではありません。 相手が自分自身と対話するきっかけを作る、そんな優しい質問を心がけることが大切です。

フィードバックの与え方

成長を促すフィードバックには、明確な原則があります。

建設的なフィードバックの原則:

  • 事実に基づいて具体的に伝える
  • 人格ではなく行動にフォーカス
  • 改善提案とセットで伝える
  • 相手の感情に配慮したタイミング
  • 双方向の対話として進める

「あなたはいつもだらしない」ではなく、「今日の会議で資料の準備が間に合わなかったようですが、どんなサポートがあれば改善できそうですか?」という風に、相手と一緒に解決策を考える姿勢が重要なんです。

実践的コーチング手法

目標設定のサポート方法

目標設定は、単に数値目標を決めることではありません。 相手が心から達成したいと思える目標を見つけるプロセスが重要です。

効果的な目標設定プロセス:

  • 現状の整理と課題の明確化
  • 理想の状態の具体的なイメージ化
  • 目標達成の意味と価値の確認
  • 実現可能性の検討
  • アクションプランの作成

「なぜその目標を達成したいのか?」 この質問への答えが明確になったとき、人は驚くほどのエネルギーを発揮します。

自発的行動を促すアプローチ

指示や命令では一時的な行動は引き出せても、継続的な成長にはつながりません。 相手が自ら「やりたい」と思える状況を作ることが重要です。

自発性を促す関わり方:

  • 選択肢を提示し、自分で決めてもらう
  • 小さな成功体験を積み重ねる
  • 進歩を認めて適切にほめる
  • 失敗を学習機会として捉える
  • 自己決定感を大切にする

押し付けられた目標よりも、自分で決めた目標の方が、達成率が圧倒的に高いというデータもあります。 自発性こそが、持続的な成長の源泉なんですね。

成長を加速させる関わり方

成長を加速させるには、適切なタイミングでの支援と挑戦のバランスが重要です。

成長支援の要素:

  • 適度なストレッチ目標の設定
  • 安心して挑戦できる環境づくり
  • 定期的な振り返りの機会
  • 学習リソースの提供
  • メンタル面でのサポート

人が最も成長するのは、「少し背伸びすれば届く」レベルの挑戦をしているときです。 簡単すぎても難しすぎても、成長のエンジンは回らないんです。

手に取ったきっかけ

私がこの本と出会ったのは、部下指導で大きな壁にぶつかっていた時期でした。

どんなに丁寧に教えても、なかなか成果につながらない。 それどころか、部下のモチベーションが下がっていくように感じていました。

「私の指導方法に問題があるのかもしれない」

そんな悩みを抱えていたとき、YouTube でコーチングについての動画を偶然見つけました。 そこで紹介されていたのが、この『新 コーチングが人を活かす』だったんです。

「教える」から「引き出す」への発想転換という言葉に、強烈に惹かれたのを覚えています。 早速本書を購入し、一気に読み切りました。

読みながら「これまでの自分の関わり方は、相手の可能性を制限していたかもしれない」という気づきがあり、衝撃を受けました。

読んでみて思ったこと

この本を読んで、私の人との関わり方が根本的に変わりました。 特に印象的だったのは、「答えは相手の中にある」という前提の威力です。

コーチング的関わりを実践してみる

読書後、早速職場でコーチング的アプローチを試してみました。

従来の私の関わり方: 「この問題はこうやって解決すればいいよ」 「前にも同じミスをしていたよね」 「次からはこれに気をつけて」

コーチング的関わりに変えて: 「この状況をどう捉えていますか?」 「どんな解決策が考えられそうですか?」 「今回の経験から何を学べそうですか?」

最初は戸惑いましたが、続けているうちに部下の表情が明らかに変わってきました。 自分で考えて答えを出したときの、あの生き生きとした表情は忘れられません!

特に印象的だったのは、新人の A さんとの面談です。 業務でミスが続いていて、落ち込んでいた彼女に、いつもなら「こうすればミスが減るよ」とアドバイスするところを、「ミスが起こりにくい環境を作るとしたら、どんなアイデアがありますか?」と質問してみました。

すると彼女は目を輝かせて、「チェックリストを作って、同僚と相互確認する仕組みはどうでしょう?」と提案してくれたんです。 その後、彼女は自分で考えた仕組みを積極的に実践し、ミスが劇的に減りました。

自分で考えた解決策だからこそ、こんなに主体的に取り組めるんだと実感しました。

質問の力を日常で活用する

コーチングで学んだ質問力は、職場だけでなく、家庭でも威力を発揮しています。

子どもとの会話が変化:

  • 「宿題やったの?」→「今日はどんな勉強をしようか?」
  • 「なんで片付けないの?」→「部屋がきれいだと、どんな気持ちになりそう?」

パートナーとの対話が深化:

  • 「仕事疲れた」→「今日の仕事で一番やりがいを感じたのはどの瞬間?」

質問を変えるだけで、相手の反応がこれほど変わるとは思いませんでした。 家族の中にも、新しい発見や気づきが生まれるようになったんです。

あなたも普段の会話で、相手に答えを押し付けてしまうことはありませんか? 少し質問の仕方を変えるだけで、相手との関係性が劇的に改善するかもしれません。

実践している効果的な質問パターン:

  • 「どう思う?」→「どの部分が特に印象的だった?」
  • 「大変だね」→「どんなサポートがあったら助かりそう?」
  • 「頑張って」→「最初の一歩として何から始めてみる?」

質問の質が、関係性の質を決めると痛感しています。

私が一番感動したのは、質問には相手を勇気づける力があるということです。 適切な質問は、相手に「あなたのことを大切に思っています」「あなたの考えを知りたいです」というメッセージを伝えるんですね。

コーチングを学んで気づいたのは、人は「教えられる」よりも「聞いてもらえる」ことを求めているということ。 そして、自分の答えを見つけたときの充実感は、どんなアドバイスよりも価値があるということです。

これまで「良いことを教えてあげよう」と思って接していた相手に対して、「あなたの中にある素晴らしい答えを一緒に見つけましょう」という姿勢で向き合うようになりました。

すると、相手も私も、もっと自然体で、もっと創造的な関係性を築けるようになったと感じています。

職場でのコーチング実践例

本書で学んだコーチングスキルを、実際の職場でどう活用できるかを具体的なシーンで紹介します。

ケース 1: 新プロジェクトへの挑戦を躊躇している部下

状況: 中堅社員の B さんが、新しいプロジェクトのリーダーを任せたいと思っているが、本人は「自分にはまだ早い」と消極的。

従来のアプローチ: 「君ならできるよ。心配しないで挑戦してみて」

コーチング的アプローチ:

  • 「このプロジェクトについて、どんな印象を持っていますか?」
  • 「もし成功したら、どんな成長が得られそうですか?」
  • 「不安に感じている部分は具体的にはどの辺りですか?」
  • 「その不安を解消するために、どんな準備ができそうですか?」
  • 「サポートがあるとしたら、どんな形が理想的ですか?」

結果: B さんは自分で不安要素を整理し、必要な準備を具体化。 「段階的にチャレンジしてみたい」と自ら提案し、プロジェクトリーダーを引き受けました。

ケース 2: チーム内のコミュニケーション不足で悩む

状況: チーム内で情報共有がうまくいかず、メンバーが孤立感を感じている。

従来のアプローチ: 「もっとコミュニケーションを取るように」と指示

コーチング的アプローチ: チームミーティングで以下の質問を投げかけ:

  • 「理想的なチームコミュニケーションってどんな感じですか?」
  • 「現状で良い点はどこでしょう?」
  • 「改善できそうな部分はどこですか?」
  • 「一人一人ができる小さな工夫は何がありますか?」
  • 「チーム全体で試してみたい仕組みはありますか?」

結果: メンバー自身で「15 分間の朝のチェックイン」「困ったときのヘルプサイン」などのルールを考案。 全員が当事者意識を持って、コミュニケーション改善に取り組むようになりました。

ケース 3: 成果が上がらずに落ち込んでいる部下

状況: 営業成績が伸び悩んでいる C さんが、自信を失っている。

従来のアプローチ: 「結果にとらわれすぎず、もっと頑張ろう」

コーチング的アプローチ:

  • 「これまでの営業活動で、手応えを感じた瞬間はありますか?」
  • 「お客様から感謝された経験を教えてください」
  • 「今の営業スタイルの中で、あなたらしさが出ている部分はどこですか?」
  • 「理想の営業パーソンはどんな人ですか?」
  • 「その人に一歩近づくために、今日からできることは何ですか?」

結果: C さんは自分の強みを再認識し、「お客様の話をじっくり聞く」という自分らしいスタイルを伸ばすことに集中。 3 ヶ月後、顧客からの信頼度が向上し、成約率も大幅に改善しました。

これらの実践例を通して感じるのは、コーチングは魔法のようなテクニックではなく、相手への深い関心と信頼に基づいたコミュニケーション手法だということです。

相手の可能性を信じて、適切な質問を投げかけることで、誰でも自分なりの答えを見つけることができる。 その瞬間に立ち会えることは、リーダーとしての最高の喜びの一つだと感じています。

最後に

『新 コーチングが人を活かす』は、単なるビジネススキル本を超えた、人間関係の本質を教えてくれる名著です。

この本から得られる最大の価値:

  • 人への関わり方の根本的な発想転換
  • 相手の可能性を引き出す具体的スキル
  • 自分自身の成長にもつながる気づき
  • 職場だけでなく、人生全般に活かせる知恵

コーチングを学ぶことで、私は「教える人」から「引き出す人」へと変化できました。 そして何より、人との関わりがこれまで以上に楽しく、意味深いものになったんです。

特にこんな方におすすめ:

  • 部下指導に悩んでいるリーダー
  • 子育てに新しいアプローチを求める親
  • より良い人間関係を築きたい全ての人
  • 自分自身の可能性を広げたい人

人が本来持っている力を信じ、それを引き出す関わり方を身につけたいなら、ぜひ一読をおすすめします。

あなたも「人が輝く瞬間」を目撃する感動を、ぜひ体験してみてください! この本が、あなたとあなたの周りの人たちの人生を、より豊かで充実したものに変えてくれるはずです。

読み終わった後、きっとあなたも周りの人への関わり方を変えたくなると思います。 そしてその小さな変化が、大きな成長の循環を生み出していくことを実感できるでしょう。

コーチングの素晴らしさを、ぜひあなた自身で体験してみてください!

新 コーチングが人を活かす 鈴木 義幸 (著)

新 コーチングが人を活かす 鈴木 義幸 (著)