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Bun のインストール完全ガイド:macOS/Linux/Windows(WSL)対応の最短手順

Bun のインストール完全ガイド:macOS/Linux/Windows(WSL)対応の最短手順

JavaScript/TypeScript の実行環境として注目を集めている Bun を、今すぐ使い始めたいと思っていませんか? この記事では、macOS、Linux、Windows(WSL)の各環境において、Bun を最短でインストールする手順を丁寧に解説します。初めての方でも迷わず進められるよう、スクリーンショットは省略しつつも、コマンド一つひとつの意味を明確に説明していきますね。

環境構築でつまずくことなく、すぐに Bun の高速な開発体験を始められるよう、OS ごとの違いや注意点も含めて網羅的にカバーしています。

Bun とは

Bun は、JavaScript と TypeScript のための高速なオールインワンツールキットです。 Node.js や Deno と同様にランタイムとして機能しますが、それだけでなく、パッケージマネージャー、バンドラー、テストランナーまでを一つのバイナリに統合しています。

Bun の主な特徴

Bun が他のランタイムと大きく異なる点を、表で整理してみましょう。

#特徴説明
1高速起動JavaScriptCore エンジンを採用し、起動時間が Node.js の数倍高速
2オールインワンランタイム、パッケージマネージャー、バンドラー、テストランナーを統合
3TypeScript ネイティブ追加設定なしで TypeScript ファイルを直接実行可能
4Node.js 互換多くの Node.js API と npm パッケージがそのまま動作
5Zig 製Zig 言語で実装され、メモリ安全性とパフォーマンスを両立

以下の図は、Bun のアーキテクチャと主要機能の関係を示しています。

mermaidflowchart TB
    bun["Bun<br/>(単一バイナリ)"]
    bun --> runtime["ランタイム<br/>(JavaScriptCore)"]
    bun --> pm["パッケージマネージャー<br/>(npm 互換)"]
    bun --> bundler["バンドラー<br/>(ESM/CJS)"]
    bun --> test["テストランナー<br/>(Jest 互換)"]

    runtime --> js["JavaScript 実行"]
    runtime --> ts["TypeScript 実行"]
    pm --> install["依存関係インストール"]
    bundler --> build["プロダクションビルド"]
    test --> run["テスト実行"]

図の要点:Bun は単一のバイナリで複数の機能を提供し、開発環境をシンプルに保ちます。

インストール前の準備

Bun をインストールする前に、いくつか確認しておくべき事項があります。 スムーズなインストールのために、環境要件とシステムの状態をチェックしましょう。

システム要件

Bun を動作させるための最小要件は以下のとおりです。

#項目要件
1OSmacOS 10.15+、Linux (kernel 5.1+)、Windows 10+ (WSL2)
2CPUx64 または ARM64 (Apple Silicon 対応)
3RAM最小 2GB、推奨 4GB 以上
4ディスク100MB 以上の空き容量
5その他curl または wget コマンド(Linux/macOS)

既存環境の確認

既に Node.js や他のランタイムがインストールされている場合でも、Bun は問題なく共存できます。 ただし、環境変数の設定が競合しないよう、後ほど PATH の優先順位を確認する必要があるでしょう。

現在のシェル環境を確認するには、以下のコマンドを実行してください。

bashecho $SHELL

このコマンドは、現在使用しているシェルのパスを表示します。 bash、zsh、fish など、どのシェルを使っているかによって、後の設定ファイルの編集先が変わりますので、覚えておきましょう。

macOS へのインストール

macOS は Bun の開発でも主要なプラットフォームの一つであり、インストールは非常にシンプルです。 Intel Mac でも Apple Silicon (M1/M2/M3) でも、同じ手順でインストールできますよ。

インストールスクリプトの実行

Bun の公式インストールスクリプトを使用することで、最新版を自動的にダウンロードして配置してくれます。 ターミナルを開いて、以下のコマンドを実行してください。

bashcurl -fsSL https://bun.sh/install | bash

このコマンドは、以下の処理を自動的に実行します。

  • Bun の最新バイナリをダウンロード
  • ~​/​.bun​/​bin ディレクトリに配置
  • シェルの設定ファイル(.zshrc.bash_profile)に PATH を追加

インストールが完了すると、ターミナルに成功メッセージが表示されるでしょう。

PATH の設定確認

インストールスクリプトは自動的に PATH を設定しますが、現在のセッションには反映されていません。 以下のコマンドで、設定ファイルを再読み込みしましょう。

bashsource ~/.zshrc

zsh 以外のシェルを使用している場合は、該当するファイルを指定してください。

  • bash の場合:source ~​/​.bash_profile または source ~​/​.bashrc
  • fish の場合:source ~​/​.config​/​fish​/​config.fish

インストールの確認

Bun が正しくインストールされたか確認するため、バージョン情報を表示してみます。

bashbun --version

バージョン番号(例:1.0.20)が表示されれば、インストールは成功です。 おめでとうございます!

Homebrew を使用する方法

macOS では、パッケージマネージャーの Homebrew を使ってインストールすることも可能です。 既に Homebrew をお使いの方は、こちらの方法も便利でしょう。

bashbrew tap oven-sh/bun

このコマンドは、Bun の Homebrew リポジトリを追加します。

bashbrew install bun

これで Bun がインストールされ、Homebrew 経由でのアップデートも可能になります。

Linux へのインストール

Linux 環境でも、macOS と同様に公式インストールスクリプトを使用することで簡単にセットアップできます。 ディストリビューションによる違いはほとんどありませんが、依存パッケージの確認は重要ですね。

依存パッケージの確認

Bun は単一バイナリとして配布されていますが、実行には基本的なシステムライブラリが必要です。 多くの Linux ディストリビューションには標準でインストールされていますが、最小構成の環境では追加が必要な場合があるでしょう。

Ubuntu/Debian 系の場合、以下のパッケージを確認してください。

bashsudo apt update
bashsudo apt install -y unzip curl

これらのコマンドは、インストールスクリプトの実行に必要なツールを準備します。

Fedora/RHEL 系の場合は、以下のようになります。

bashsudo dnf install -y unzip curl

インストールスクリプトの実行

Linux でも、macOS と同じインストールスクリプトを使用します。

bashcurl -fsSL https://bun.sh/install | bash

このスクリプトは、システムのアーキテクチャ(x64 または ARM64)を自動検出し、適切なバイナリをダウンロードしてくれます。

シェル設定の更新

インストールが完了したら、シェルの設定を反映させましょう。 Linux では bash がデフォルトのシェルである場合が多いため、以下のコマンドを実行します。

bashsource ~/.bashrc

zsh を使用している場合は、macOS と同様に .zshrc を再読み込みしてください。

bashsource ~/.zshrc

インストールの確認

Linux でも、バージョン確認コマンドで動作を確認できます。

bashbun --version

正常にバージョン番号が表示されれば、インストールは完了です。

手動インストール方法

スクリプトを使用したくない場合や、特定のバージョンをインストールしたい場合は、手動でのインストールも可能です。

まず、GitHub のリリースページから最新のバイナリをダウンロードします。

bashcurl -fsSL https://github.com/oven-sh/bun/releases/latest/download/bun-linux-x64.zip -o bun.zip

このコマンドは、x64 アーキテクチャ用の Bun をダウンロードします。 ARM64 の場合は、bun-linux-aarch64.zip を指定してください。

ダウンロードしたファイルを解凍します。

bashunzip bun.zip
bashsudo mv bun-linux-x64/bun /usr/local/bin/bun

これで、システム全体で Bun が使用可能になります。

最後に、実行権限を確認しましょう。

bashsudo chmod +x /usr/local/bin/bun

Windows(WSL)へのインストール

Windows で Bun を使用する場合、WSL2(Windows Subsystem for Linux 2)を利用するのが最も推奨される方法です。 ネイティブ Windows 版は実験的なサポート段階のため、WSL2 を使用することで安定した開発環境が構築できますよ。

以下の図は、Windows 上での Bun の動作環境を示しています。

mermaidflowchart TB
    win["Windows 10/11"]
    win --> wsl["WSL2<br/>(Linux カーネル)"]
    wsl --> ubuntu["Ubuntu/Debian<br/>(ディストリビューション)"]
    ubuntu --> bun["Bun<br/>(Linux バイナリ)"]

    bun --> dev["開発環境"]
    dev --> vscode["VS Code<br/>(Remote-WSL)"]
    dev --> terminal["Windows Terminal"]

図の要点:WSL2 を介することで、Windows 上で Linux 版 Bun をネイティブに近いパフォーマンスで実行できます。

WSL2 のインストール

まず、WSL2 が有効になっているか確認する必要があります。 PowerShell を管理者権限で開いて、以下のコマンドを実行してください。

powershellwsl --install

このコマンドは、WSL2 と Ubuntu ディストリビューションを自動的にインストールします。 既に WSL がインストールされている場合は、バージョンを確認しましょう。

powershellwsl --list --verbose

出力結果の VERSION 列が 2 になっていれば、WSL2 が有効です。 1 の場合は、以下のコマンドで WSL2 にアップグレードできます。

powershellwsl --set-default-version 2

WSL 環境への接続

WSL2 が準備できたら、Linux 環境に接続しましょう。 Windows Terminal または PowerShell から、以下のコマンドを実行します。

bashwsl

これで、Ubuntu(または選択したディストリビューション)のシェルが起動します。

WSL 内での Bun インストール

WSL 環境内では、通常の Linux と同じ手順で Bun をインストールできます。 まず、必要なパッケージを確認してください。

bashsudo apt update && sudo apt install -y curl unzip

次に、Bun のインストールスクリプトを実行します。

bashcurl -fsSL https://bun.sh/install | bash

インストールが完了したら、シェル設定を再読み込みします。

bashsource ~/.bashrc

Windows Terminal での設定

Windows Terminal を使用している場合、WSL 環境をデフォルトのプロファイルに設定すると便利です。 設定画面(Ctrl + ,)から、スタートアップタブでデフォルトプロファイルを WSL に変更できますよ。

インストールの確認

WSL 内で Bun が正しく動作するか確認しましょう。

bashbun --version

バージョン番号が表示されれば、WSL 環境での Bun のセットアップは完了です。

VS Code との連携

Visual Studio Code の Remote-WSL 拡張機能を使用すると、Windows 上の VS Code から WSL 環境内のプロジェクトをシームレスに開発できます。

拡張機能のインストールは、VS Code の拡張機能タブから「Remote - WSL」を検索してインストールするだけです。

WSL 環境のプロジェクトフォルダで、以下のコマンドを実行すると、VS Code が自動的に起動します。

bashcode .

インストール後の設定

Bun のインストールが完了したら、いくつかの追加設定を行うことで、より快適な開発環境を構築できます。 グローバル設定やエディタ連携など、実務で役立つ設定を見ていきましょう。

グローバル設定ファイル

Bun は、~​/​.bunfig.toml というファイルでグローバル設定を管理します。 このファイルを作成することで、プロジェクトごとに設定を繰り返す手間が省けますね。

設定ファイルを作成してみましょう。

bashtouch ~/.bunfig.toml

基本的な設定例を記述します。

toml# グローバル Bun 設定ファイル
# パッケージマネージャーの設定
[install]
# パッケージの自動更新を無効化
auto = false
# プロダクション依存関係のみをインストール
production = false

# レジストリ設定
[install.registry]
url = "https://registry.npmjs.org/"

この設定は、パッケージインストール時の動作をカスタマイズします。

環境変数の設定

Bun 固有の環境変数を設定することで、動作をさらに調整できます。 シェルの設定ファイル(.zshrc.bashrc)に以下を追加してください。

bash# Bun の環境変数設定
export BUN_INSTALL="$HOME/.bun"
export PATH="$BUN_INSTALL/bin:$PATH"

これらの環境変数は、通常インストールスクリプトが自動設定しますが、手動確認しておくと安心です。

追加で、開発時に便利な環境変数も設定できます。

bash# Bun のデバッグモードを有効化(開発時のみ)
export BUN_DEBUG_QUIET_LOGS=1

設定を反映させるため、シェルを再起動するか、設定ファイルを再読み込みしてください。

エディタ連携の設定

VS Code で Bun を使用する際の推奨設定を紹介します。 プロジェクトルートに .vscode​/​settings.json を作成し、以下の内容を記述しましょう。

json{
  // Bun をデフォルトの JavaScript ランタイムとして使用
  "bun.runtime": "bun",

  // TypeScript の型チェックを有効化
  "typescript.tsdk": "node_modules/typescript/lib",

  // Bun でテストを実行
  "bun.test.enable": true
}

この設定により、VS Code 内で Bun を直接実行できるようになります。

VS Code の統合ターミナルで Bun を使用する場合、デフォルトシェルの設定も確認しておきましょう。

json{
  "terminal.integrated.defaultProfile.linux": "bash",
  "terminal.integrated.profiles.linux": {
    "bash": {
      "path": "/bin/bash"
    }
  }
}

動作確認とテスト

インストールと設定が完了したら、実際に Bun を使ってみることで、すべてが正常に機能しているか確認しましょう。 簡単なプロジェクトを作成して、主要機能をテストしていきます。

バージョン確認

最初に、再度バージョン情報を確認します。

bashbun --version

この時点で正確なバージョン番号が表示されれば、基本的なインストールは成功しています。

ヘルプコマンドの確認

Bun が提供する全コマンドを確認してみましょう。

bashbun --help

このコマンドは、runtestinstall など、Bun で使用可能なすべてのサブコマンドを一覧表示します。

簡単な JavaScript ファイルの実行

新しいディレクトリを作成して、簡単な JavaScript ファイルを実行してみます。

bashmkdir bun-test && cd bun-test

テスト用の JavaScript ファイルを作成します。

bashtouch index.js

index.js に以下の内容を記述してください。

javascript// Bun の動作確認用スクリプト
console.log('Hello from Bun!');
console.log('Bun version:', Bun.version);
console.log('Platform:', process.platform);
console.log('Architecture:', process.arch);

このスクリプトは、Bun の基本情報と実行環境を表示します。

ファイルを実行してみましょう。

bashbun run index.js

正常に実行されれば、Bun のバージョンとシステム情報が表示されます。 起動速度の速さに驚かれるかもしれませんね。

TypeScript ファイルの実行

Bun は TypeScript をネイティブサポートしていますので、追加設定なしで TypeScript ファイルも実行できます。 新しいファイルを作成してみましょう。

bashtouch index.ts

index.ts に TypeScript のコードを記述します。

typescript// TypeScript の型定義を使用
interface SystemInfo {
  version: string;
  platform: string;
  arch: string;
}

// システム情報を取得する関数
function getSystemInfo(): SystemInfo {
  return {
    version: Bun.version,
    platform: process.platform,
    arch: process.arch,
  };
}

// メイン処理
const info = getSystemInfo();
console.log('System Information:');
console.log(JSON.stringify(info, null, 2));

TypeScript ファイルを直接実行します。

bashbun run index.ts

トランスパイル処理が自動的に実行され、型チェックされた結果が表示されます。 この高速な TypeScript 実行が、Bun の大きな魅力の一つですね。

パッケージマネージャーのテスト

Bun のパッケージマネージャー機能もテストしてみましょう。 新しいプロジェクトを初期化します。

bashbun init

このコマンドは対話形式で、プロジェクトの基本情報を入力できます。 Enter キーを連打してデフォルト設定で進めても問題ありません。

生成された package.json を確認してみます。

bashcat package.json

次に、外部パッケージをインストールしてみましょう。

bashbun add cowsay

このコマンドは、cowsay という軽量なパッケージをインストールします。 インストール速度の速さを体感できるはずです。

インストールしたパッケージを使用するスクリプトを作成します。

javascript// パッケージのインポート
import cowsay from 'cowsay';

// メッセージを表示
console.log(
  cowsay.say({
    text: 'Bun is awesome!',
    e: 'oO',
    T: 'U ',
  })
);

このファイルを cowsay-test.js として保存し、実行してみてください。

bashbun run cowsay-test.js

楽しいアスキーアートが表示されれば、パッケージマネージャーも正常に動作しています。

HTTP サーバーのテスト

最後に、Bun の高速な HTTP サーバー機能を試してみましょう。 以下の内容で server.js を作成します。

javascript// Bun の組み込み HTTP サーバー
Bun.serve({
  port: 3000,
  fetch(req) {
    return new Response('Hello from Bun server!');
  },
});

console.log('Server running at http://localhost:3000');

サーバーを起動します。

bashbun run server.js

ブラウザまたは curl コマンドで http:​/​​/​localhost:3000 にアクセスしてみてください。

bashcurl http://localhost:3000

「Hello from Bun server!」というメッセージが返ってくれば、HTTP サーバー機能も正常に動作しています。

トラブルシューティング

インストールや実行時に問題が発生した場合の、よくあるエラーと解決方法を紹介します。 多くの問題は、環境設定や権限の問題に起因していますので、順番に確認していきましょう。

インストールエラー

Error: curl: command not found

エラーコード: bash: curl: command not found

発生条件: curl コマンドがシステムにインストールされていない場合

解決方法:

  1. Ubuntu/Debian 系の場合、curl をインストールします
bashsudo apt update && sudo apt install curl
  1. Fedora/RHEL 系の場合
bashsudo dnf install curl
  1. macOS で Homebrew を使用する場合(通常は標準でインストール済み)
bashbrew install curl

Error: Permission denied

エラーコード: bash: ​/​usr​/​local​/​bin​/​bun: Permission denied

発生条件: Bun バイナリに実行権限がない、または書き込み権限のないディレクトリにインストールしようとした場合

解決方法:

  1. ファイルに実行権限を付与します
bashchmod +x ~/.bun/bin/bun
  1. システムディレクトリにインストールする場合は sudo を使用
bashsudo chmod +x /usr/local/bin/bun
  1. ユーザーディレクトリへのインストールを推奨(デフォルト)

公式インストールスクリプトは ~​/​.bun にインストールするため、通常は権限問題は発生しません。

PATH 設定エラー

Error: bun: command not found

エラーコード: zsh: command not found: bun または bash: bun: command not found

発生条件: Bun のインストールディレクトリが PATH に含まれていない場合

解決方法:

  1. 現在の PATH を確認します
bashecho $PATH
  1. ~​/​.bun​/​bin が含まれていない場合、シェル設定ファイルを確認

zsh の場合:

bashcat ~/.zshrc | grep BUN_INSTALL

bash の場合:

bashcat ~/.bashrc | grep BUN_INSTALL
  1. PATH の設定が見つからない場合、手動で追加
bashecho 'export BUN_INSTALL="$HOME/.bun"' >> ~/.zshrc
echo 'export PATH="$BUN_INSTALL/bin:$PATH"' >> ~/.zshrc
  1. 設定を反映
bashsource ~/.zshrc
  1. 再度確認
bashbun --version

WSL 固有の問題

Error: WSL2 kernel version too old

エラーコード: Error: This version of WSL requires kernel 5.1 or higher

発生条件: WSL2 のカーネルバージョンが古い場合

解決方法:

  1. Windows PowerShell(管理者権限)で WSL を更新
powershellwsl --update
  1. WSL を再起動
powershellwsl --shutdown
  1. 再度 WSL に接続して確認
bashuname -r

カーネルバージョンが 5.1 以上であることを確認してください。

Error: Cannot access Windows filesystem

エラーコード: Error: EACCES: permission denied

発生条件: WSL から Windows のファイルシステムにアクセスしようとした際、権限が不足している場合

解決方法:

  1. WSL 内のホームディレクトリ(~)を使用することを推奨

Windows のファイルシステム(​/​mnt​/​c​/​...)は、パフォーマンスが低下し、権限の問題も発生しやすくなります。

  1. プロジェクトファイルは WSL 内に配置
bashcd ~
mkdir projects
cd projects
  1. VS Code の Remote-WSL 拡張を使用して、WSL 内のファイルを編集

実行時エラー

Error: Module not found

エラーコード: error: Cannot find module "express"

発生条件: 必要なパッケージがインストールされていない場合

解決方法:

  1. 依存関係をインストール
bashbun install
  1. 特定のパッケージを追加
bashbun add express
  1. node_modules が破損している場合は削除して再インストール
bashrm -rf node_modules bun.lockb
bun install

Error: Port already in use

エラーコード: Error: EADDRINUSE: address already in use :::3000

発生条件: 指定したポートが既に使用されている場合

解決方法:

  1. 使用中のポートを確認
bashlsof -i :3000
  1. プロセスを終了(PID を確認してから)
bashkill -9 <PID>
  1. または、別のポート番号を使用
javascript// server.js
Bun.serve({
  port: 3001, // ポート番号を変更
  fetch(req) {
    return new Response('Hello from Bun server!');
  },
});

パフォーマンスの問題

Issue: Bun の起動が遅い

発生条件: ウイルス対策ソフトがバイナリをスキャンしている、またはシステムリソースが不足している場合

解決方法:

  1. ウイルス対策ソフトの除外リストに Bun のディレクトリを追加

macOS の場合:~​/​.bun​/​bin​/​bun Linux の場合:~​/​.bun​/​bin​/​bun Windows の場合:WSL のファイルシステム全体

  1. システムリソースを確認
bashfree -h  # メモリ確認(Linux/WSL)
df -h    # ディスク容量確認
  1. 古いキャッシュをクリア
bashrm -rf ~/.bun/install/cache

アップデート方法

Bun は活発に開発が進められており、定期的に新機能やバグ修正がリリースされます。 最新の機能を使用し、セキュリティを保つためにも、定期的なアップデートが重要ですね。

自動アップデート

Bun には組み込みのアップデートコマンドが用意されています。 最も簡単な方法は、以下のコマンドを実行することです。

bashbun upgrade

このコマンドは、最新の安定版を自動的にダウンロードしてインストールします。 現在のバージョンが最新であれば、その旨が表示されます。

アップデート前に、現在のバージョンを確認しておくとよいでしょう。

bashbun --version

特定バージョンへのアップデート

特定のバージョンにアップグレード(またはダウングレード)したい場合は、以下のように指定できます。

bashbun upgrade --stable

これは最新の安定版を指定する方法です。

開発版(Canary ビルド)を試したい場合は、以下のコマンドを使用します。

bashbun upgrade --canary

注意: Canary ビルドは最新の機能が含まれていますが、不安定な可能性がありますので、本番環境では使用しないでください。

Homebrew 経由でのアップデート

Homebrew を使用してインストールした場合は、Homebrew のコマンドでアップデートします。

bashbrew upgrade bun

Homebrew で管理すると、他のパッケージと一緒に一括アップデートできて便利です。

bashbrew update && brew upgrade

手動アップデート

自動アップデートが機能しない場合や、完全にクリーンインストールしたい場合は、手動でアップデートできます。

まず、既存の Bun を削除します。

bashrm -rf ~/.bun

次に、インストールスクリプトを再度実行します。

bashcurl -fsSL https://bun.sh/install | bash

シェル設定を再読み込みします。

bashsource ~/.zshrc  # または ~/.bashrc

アップデート確認の自動化

定期的にアップデートをチェックする習慣をつけるため、シェルの起動時にバージョンチェックを実行する設定を追加できます。

.zshrc.bashrc に以下を追加してください。

bash# Bun のバージョンチェック(週1回)
if [ -f ~/.bun_last_check ]; then
  last_check=$(cat ~/.bun_last_check)
  current_time=$(date +%s)
  week_in_seconds=604800

  if [ $((current_time - last_check)) -gt $week_in_seconds ]; then
    echo "Checking for Bun updates..."
    bun upgrade --dry-run
    echo $current_time > ~/.bun_last_check
  fi
else
  echo $(date +%s) > ~/.bun_last_check
fi

この設定により、週に一度、新しいバージョンが利用可能かどうかを確認できます。

まとめ

Bun のインストール方法について、macOS、Linux、Windows(WSL)の各環境で詳しく解説してきました。 Bun は公式のインストールスクリプトを使用することで、どの環境でも数分でセットアップが完了します。

この記事でカバーした主要なポイントを振り返ってみましょう。

#項目要点
1基本インストール公式スクリプト(curl -fsSL https:​/​​/​bun.sh​/​install | bash)で自動インストール
2macOSHomebrew での管理も可能、Apple Silicon ネイティブ対応
3Linuxディストリビューションに依存せず、統一された手順で導入可能
4Windows(WSL)WSL2 経由で Linux 版を使用、VS Code との連携が快適
5動作確認TypeScript ネイティブ実行、高速なパッケージインストールを体験
6トラブルシューティングPATH 設定や権限の問題が主な原因、解決手順を整理
7アップデートbun upgrade コマンドで簡単に最新版へ更新可能

Bun の高速なランタイム、統合されたツールチェーン、TypeScript のネイティブサポートは、現代の JavaScript/TypeScript 開発において大きなアドバンテージとなるでしょう。 インストールから動作確認まで、この記事の手順に従って進めていただければ、すぐに Bun の開発を始められるはずです。

これから Bun を使った開発を進める中で、Node.js との互換性や、既存プロジェクトの移行など、新たな疑問が出てくるかもしれません。 しかし、まずはこの記事でセットアップを完了し、実際に触れてみることで、Bun の魅力を肌で感じていただければ幸いです。

快適な Bun 開発ライフをお楽しみください!

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