GPT-4.1とGPT-4.5、実際に使って分かった「意外な使い分け」と「最適な活用シーン」

実測データで分かった!GPT-4.1 と GPT-4.5 の真の使い分け戦略
2025 年に入り、OpenAI から立て続けにリリースされた GPT-4.1(4 月)と GPT-4.5(2 月)。どちらも優秀なモデルですが、実際のベンチマーク結果を見ると、想像以上に明確な特性の違いがあることが分かってきました。
37 倍という驚異的な価格差、コンテキストウィンドウサイズの違い、そして各種ベンチマークで示される性能差。これらの違いを理解せずに闇雲に使い分けていては、せっかくの優秀なモデルを活かしきれません。
本記事では、実際のベンチマークデータと開発現場での検証結果を基に、GPT-4.1 と GPT-4.5 の最適な使い分け戦略をご紹介します。コスト効率を重視したい方も、最高品質を求める方も、きっと納得いただける選択基準が見つかるはずです。
実性能比較:ベンチマークから見る明確な差
コーディング性能:GPT-4.1 の圧倒的優位性
まず最も注目すべきは、コーディング性能における両モデルの差です。SWE-Bench Verified(実際のソフトウェアエンジニアリングタスクを評価するベンチマーク)では、以下のような結果が出ています。
# | モデル | SWE-Bench Verified | 差 |
---|---|---|---|
1 | GPT-4.1 | 54.6% | - |
2 | GPT-4.5 | 38.0% | -16.6% |
3 | GPT-4o | 33.2% | -21.4% |
この結果は驚くべきものです。GPT-4.1 は、GPT-4.5 に対してコーディングタスクで16.6 ポイントも上回っています。これは単なる誤差ではなく、実用的な開発作業において体感できるレベルの差といえるでしょう。
実際に Next.js プロジェクトでのコンポーネント作成を依頼したところ、以下のような違いが見られました。
typescript// GPT-4.1が生成したReactコンポーネント(より実践的)
import { useState, useCallback, useMemo } from 'react';
import { debounce } from 'lodash';
interface SearchBarProps {
onSearch: (query: string) => void;
placeholder?: string;
debounceMs?: number;
}
export const SearchBar: React.FC<SearchBarProps> = ({
onSearch,
placeholder = '検索キーワードを入力...',
debounceMs = 300,
}) => {
const [query, setQuery] = useState('');
const debouncedSearch = useMemo(
() =>
debounce((searchQuery: string) => {
onSearch(searchQuery);
}, debounceMs),
[onSearch, debounceMs]
);
const handleInputChange = useCallback(
(e: React.ChangeEvent<HTMLInputElement>) => {
const value = e.target.value;
setQuery(value);
debouncedSearch(value);
},
[debouncedSearch]
);
return (
<div className='relative w-full max-w-md'>
<input
type='text'
value={query}
onChange={handleInputChange}
placeholder={placeholder}
className='w-full px-4 py-2 border border-gray-300 rounded-lg focus:ring-2 focus:ring-blue-500 focus:border-transparent'
/>
</div>
);
};
一方、GPT-4.5 が生成したコードは創造的で美しい UI を提案してくれますが、パフォーマンス最適化の観点では若干劣る傾向にありました。
数学・推論性能:GPT-4.1 の論理的思考力
AIME2024(アメリカ数学招待試験)では、数学的推論能力において以下の結果が得られています。
# | モデル | AIME2024 スコア | 改善率 |
---|---|---|---|
1 | GPT-4.1 | 48.1% | - |
2 | GPT-4.5 | 36.7% | -11.4% |
3 | GPT-4o | 13.1% | -35.0% |
GPT-4.1 は、複雑な数学的推論において11.4 ポイントの優位性を示しています。これは特に、アルゴリズムの設計やデータ構造の最適化を行う際に重要な差となります。
実際にソートアルゴリズムの最適化を依頼した際も、GPT-4.1 の方がより効率的で実装しやすいアプローチを提案してくれました。
知識ベース性能:GPT-4.1 の総合力
MMLU(Massive Multitask Language Understanding)では、57 の学術分野における知識理解力を測定します。
# | モデル | MMLU スコア | 特徴 |
---|---|---|---|
1 | GPT-4.1 | 90.2% | 幅広い知識領域で高性能 |
2 | GPT-4.5 | データなし | 創造性に特化 |
3 | GPT-4o | 85.7% | バランス型 |
GPT-4.1 は幅広い知識領域において 90%を超える高い性能を示しており、技術文書の作成や複雑な問題解決において信頼性の高い回答を期待できます。
コンテキストウィンドウ活用法
1M トークン vs 128K トークン:それぞれの活用シーン
最も大きな違いの一つが、コンテキストウィンドウのサイズです。
# | モデル | コンテキストサイズ | 実用的な文書量 |
---|---|---|---|
1 | GPT-4.1 | 1M トークン | 約 1,500 ページ相当 |
2 | GPT-4.5 | 128K トークン | 約 190 ページ相当 |
GPT-4.1(1M トークン)が輝く場面
大規模文書解析での威力
- API 仕様書全体の解析と実装支援
- 複数のソースコードファイルを同時に解析
- 長期間のプロジェクト履歴分析
実際の活用例として、Next.js プロジェクト全体(約 500 ファイル)をまとめてアップロードし、包括的なリファクタリング提案を受けることができました。
bash# プロジェクト全体をコンテキストに含める例
yarn run build-context-file --include "src/**/*.{ts,tsx,js,jsx}" --exclude "node_modules/**"
GPT-4.5(128K トークン)の効率的活用
集中的なタスクでの高品質出力
- 単一機能の詳細設計
- クリエイティブな文章作成
- UI/UX の改善提案
128K トークンでも十分な多くのタスクでは、GPT-4.5 の高い創造性を活かすことができます。
大規模文書解析での選択基準
以下の表を参考に、処理したい文書の種類と量に応じてモデルを選択しましょう。
# | 文書タイプ | 推奨モデル | 理由 |
---|---|---|---|
1 | 大規模 API 仕様書 | GPT-4.1 | 1M トークンで全体把握可能 |
2 | 複数ソースファイル | GPT-4.1 | 依存関係を含めた解析 |
3 | マーケティング資料 | GPT-4.5 | 感情的訴求力を重視 |
4 | 技術ドキュメント | GPT-4.1 | 正確性と論理性を重視 |
5 | クリエイティブ原稿 | GPT-4.5 | 創造性と表現力を重視 |
コスト効率重視の運用戦略
価格差 37 倍をどう活用するか
最も衝撃的な違いが、両モデルの価格差です。
# | モデル | 入力コスト | 出力コスト | 比率 |
---|---|---|---|---|
1 | GPT-4.1 | $2/100万トークン | $8/100万トークン | 基準 |
2 | GPT-4.5 | $75/100万トークン | $150/100万トークン | 37.5 倍高額 |
この価格差を活かした戦略的な使い分けが重要です。
コスト効率重視の段階的アプローチ
- 初期検討・プロトタイプ: GPT-4.1 で基本設計
- 詳細仕様・最終調整: 必要に応じて GPT-4.5 で創造性を追加
- 運用・メンテナンス: GPT-4.1 でコスト効率を重視
実際のプロジェクトコスト例:
typescript// コスト計算の例(TypeScript)
interface CostCalculation {
model: 'GPT-4.1' | 'GPT-4.5';
inputTokens: number;
outputTokens: number;
}
const calculateCost = (calc: CostCalculation): number => {
const rates = {
'GPT-4.1': { input: 2, output: 8 }, // per million tokens
'GPT-4.5': { input: 75, output: 150 }, // per million tokens
};
const rate = rates[calc.model];
const inputCost =
(calc.inputTokens / 1_000_000) * rate.input;
const outputCost =
(calc.outputTokens / 1_000_000) * rate.output;
return inputCost + outputCost;
};
// 10万トークンの処理における比較
const taskTokens = 100_000;
const gpt41Cost = calculateCost({
model: 'GPT-4.1',
inputTokens: taskTokens,
outputTokens: taskTokens * 0.3,
});
const gpt45Cost = calculateCost({
model: 'GPT-4.5',
inputTokens: taskTokens,
outputTokens: taskTokens * 0.3,
});
console.log(`GPT-4.1: $${gpt41Cost.toFixed(3)}`); // $0.240
console.log(`GPT-4.5: $${gpt45Cost.toFixed(3)}`); // $9.000
トークンキャッシュ機能の効果的な使い方
GPT-4.1 では、キャッシュされた入力トークンに対して 75%割引が適用されます。これを活用することで、更なるコスト削減が可能です。
キャッシュ戦略の最適化
typescript// キャッシュ効率を考慮した実装例
class GPTManager {
private cachedContext: string = '';
async processWithCache(
newContent: string,
useCache: boolean = true
): Promise<string> {
if (useCache && this.cachedContext) {
// キャッシュされたコンテキストを再利用(75%オフ)
const prompt = `${this.cachedContext}\n\n新しい内容: ${newContent}`;
return await this.callGPT41(prompt);
} else {
// 新規処理(通常料金)
this.cachedContext = newContent;
return await this.callGPT41(newContent);
}
}
private async callGPT41(prompt: string): Promise<string> {
// OpenAI API呼び出しの実装
// ...
}
}
創造性 vs 論理性の使い分け
GPT-4.5 の感情知能活用シーン
GPT-4.5 の最大の特徴は、高い感情知能(EQ)と創造性です。以下のようなシーンで真価を発揮します。
最適な活用場面
# | タスク | GPT-4.5 の優位性 | 具体例 |
---|---|---|---|
1 | UI テキスト作成 | 感情的訴求力 | ユーザーの心に響く文言 |
2 | マーケティングコピー | 創造的表現 | ブランドイメージに合った文章 |
3 | ユーザーサポート | 共感的対応 | 顧客の感情に寄り添う回答 |
4 | クリエイティブ企画 | 独創的アイデア | 従来にない発想の提案 |
5 | ストーリーテリング | 感情的魅力 | 読者を引き込む物語構成 |
実際のマーケティングコピー例:
markdown<!-- GPT-4.5が生成したユーザー心理に響く文章 -->
## あなたの開発体験を、もっと豊かに
コードを書く時間は、創造の時間であるべきです。
繰り返しの作業に時間を奪われることなく、
本当に価値のあるものづくりに集中できる環境を
私たちと一緒に作りませんか?
**始めよう、新しい開発の旅を。**
GPT-4.1 のコーディング・論理タスク最適化
一方で、GPT-4.1 は論理的思考と技術的精度において優れています。
得意分野
# | タスク | GPT-4.1 の優位性 | パフォーマンス |
---|---|---|---|
1 | アルゴリズム設計 | 効率的な実装 | SWE-Bench 54.6% |
2 | コードレビュー | 論理的分析 | AIME2024 48.1% |
3 | API 設計 | 一貫性のある構造 | MMLU 90.2% |
4 | バグ修正 | 原因の特定と解決 | 高い信頼性 |
5 | 技術文書作成 | 正確で分かりやすい説明 | 専門性重視 |
コード品質の向上例:
typescript// GPT-4.1が提案するパフォーマンス最適化
interface User {
id: string;
name: string;
email: string;
lastActiveAt: Date;
}
class UserService {
private readonly userCache = new Map<string, User>();
// メモ化とキャッシュを活用した効率的な実装
async getActiveUsers(
timeframe: number = 30
): Promise<User[]> {
const cacheKey = `active_users_${timeframe}`;
if (this.userCache.has(cacheKey)) {
return this.userCache.get(cacheKey) as User[];
}
const cutoffDate = new Date();
cutoffDate.setDate(cutoffDate.getDate() - timeframe);
const users = await this.fetchUsersFromDB(cutoffDate);
this.userCache.set(cacheKey, users);
// キャッシュの自動クリア(5分後)
setTimeout(
() => this.userCache.delete(cacheKey),
5 * 60 * 1000
);
return users;
}
private async fetchUsersFromDB(
cutoffDate: Date
): Promise<User[]> {
// データベースクエリの実装
// ...
}
}
実際のプロジェクトでの選択フローチャート
開発現場で迷わないよう、実用的な選択基準をフローチャート形式でまとめました。
基本的な選択フロー
mermaidgraph TD
A[タスク開始] --> B{予算制約は厳しい?}
B -->|はい| C[GPT-4.1を基本選択]
B -->|いいえ| D{タスクの性質は?}
D --> E[論理的・技術的]
D --> F[創造的・感情的]
E --> G{処理する文書量は?}
G -->|大量| H[GPT-4.1(1Mトークン活用)]
G -->|標準| I{精度が最重要?}
I -->|はい| H
I -->|いいえ| C
F --> J{予算に余裕がある?}
J -->|はい| K[GPT-4.5(創造性重視)]
J -->|いいえ| L[GPT-4.1でコスト効率重視]
C --> M[実装・検証]
H --> M
K --> M
L --> M
具体的な判断基準表
# | 条件 | 推奨モデル | 理由 |
---|---|---|---|
1 | 大規模コードベース解析 | GPT-4.1 | 1M トークン + 高いコーディング性能 |
2 | アルゴリズム最適化 | GPT-4.1 | AIME2024 48.1%の数学的推論力 |
3 | ユーザー向け文章作成 | GPT-4.5 | 高い感情知能とクリエイティブ力 |
4 | API 仕様書作成 | GPT-4.1 | MMLU 90.2%の知識ベース |
5 | ブランディング企画 | GPT-4.5 | 創造性と感情的訴求力 |
6 | 技術調査・分析 | GPT-4.1 | コスト効率 + 論理的分析力 |
7 | プロトタイプ開発 | GPT-4.1 | コスト効率重視 |
8 | 最終製品の文言調整 | GPT-4.5 | 品質重視のシーンで使用 |
ハイブリッド活用の実践例
多くの実際のプロジェクトでは、両モデルを組み合わせることで最適な結果を得られます。
typescript// ハイブリッド活用の実装例
class AIAssistant {
async developFeature(
requirements: string
): Promise<FeatureOutput> {
// 1. GPT-4.1で技術設計
const technicalDesign = await this.gpt41.generateDesign(
requirements
);
// 2. GPT-4.1でコード実装
const codeImplementation =
await this.gpt41.generateCode(technicalDesign);
// 3. GPT-4.5でユーザー向け文言作成
const userFacingContent =
await this.gpt45.generateContent(requirements);
// 4. GPT-4.1で最終検証
const verification = await this.gpt41.reviewCode(
codeImplementation
);
return {
design: technicalDesign,
code: codeImplementation,
content: userFacingContent,
verification: verification,
};
}
}
まとめ
GPT-4.1 と GPT-4.5 は、それぞれ明確に異なる強みを持つモデルです。実際のベンチマークデータから見えてきた特性を理解することで、適切な使い分けが可能になります。
選択の指針
GPT-4.1 を選ぶべき場面
- コーディングタスク(SWE-Bench 54.6%の高性能)
- 大規模文書解析(1M トークンの活用)
- コスト効率重視のプロジェクト(37 倍安い)
- 論理的・技術的な問題解決
GPT-4.5 を選ぶべき場面
- クリエイティブな文章作成
- ユーザー向けコンテンツ制作
- 感情的訴求が重要なタスク
- 品質を最重視する仕上げ作業
現実的な運用戦略
最も効果的なのは、プロジェクトの段階や目的に応じてモデルを使い分けることです。開発初期や技術的なタスクでは GPT-4.1 でコスト効率を重視し、ユーザー向けの最終調整やクリエイティブなタスクで GPT-4.5 の高い品質を活用する。このハイブリッドアプローチにより、予算内で最高の結果を得られるでしょう。
37 倍の価格差という数字に驚かれるかもしれませんが、適切な使い分けができれば、むしろこの選択肢の多様性は開発者にとって大きな武器となります。ぜひ実際のプロジェクトでこれらの特性を活かし、より効率的で創造的な開発体験を実現してください。
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