2025 年の MCP サーバートレンド:注目すべき新機能と技術動向
AI エージェントとツールの連携がこれまで以上に重要になる 2025 年、Model Context Protocol(MCP)は業界標準として急速に普及しています。Anthropic が提唱したこのプロトコルは、OpenAI、Google、Microsoft、AWS といった主要プレイヤーが次々と採用を表明し、AI 統合の新しいスタンダードとなりつつあります。
本記事では、2025 年に登場した MCP サーバーの最新機能と、注目すべき技術動向について詳しく解説いたします。Desktop Extensions によるワンクリックインストール、MCP Connector API によるリモート接続の簡素化、そして Elicitation 機能による対話的処理など、開発者の生産性を飛躍的に向上させる革新的な機能が次々と登場しています。
これから MCP を導入しようと考えている方も、すでに活用されている方も、2025 年の最新トレンドを押さえることで、より効果的な AI システムを構築できるでしょう。
背景
MCP(Model Context Protocol)の誕生
Model Context Protocol(MCP)は、Anthropic が 2024 年 11 月に発表した、AI モデルとツール・データソース間の標準的な通信プロトコルです。これまで、AI アシスタントが外部ツールやデータベースと連携するには、サービスごとに個別の統合コードを書く必要がありました。
MCP の登場により、一度プロトコルに準拠すれば、あらゆる AI モデルとツールが相互に接続できる環境が実現しました。これは、インターネットにおける TCP/IP のような役割を AI エコシステムで果たすものと期待されています。
MCP の基本アーキテクチャ
MCP は以下の 3 つの主要コンポーネントで構成されます。
mermaidflowchart LR
client["MCP クライアント<br/>(AI アプリケーション)"]
server["MCP サーバー<br/>(ツール・データソース)"]
protocol["Model Context Protocol<br/>(標準通信規格)"]
client -->|リクエスト| protocol
protocol -->|実行| server
server -->|レスポンス| protocol
protocol -->|結果| client
図で理解できる要点:
- MCP クライアントが AI アプリケーション側で動作
- MCP サーバーがツールやデータソースを提供
- 標準化されたプロトコルで双方向通信を実現
この構造により、クライアントとサーバーは独立して開発でき、組み合わせの自由度が高まります。
オープンスタンダードとしての価値
MCP は特定企業に依存しないオープンな標準規格として設計されました。これにより、企業は単一の AI プラットフォームに縛られることなく、その時点で最適なモデルやツールを自由に組み合わせることが可能です。
2025 年に入り、この理念が業界全体に浸透し、主要な AI プロバイダーが次々と MCP の採用を表明しています。
課題
AI 統合における M×N 問題
MCP 登場以前、AI システムと外部ツールの統合には深刻な課題がありました。それが「M×N 問題」です。
mermaidflowchart TB
subgraph before["従来の統合方式"]
ai1["AI モデル A"]
ai2["AI モデル B"]
ai3["AI モデル C"]
tool1["ツール 1"]
tool2["ツール 2"]
tool3["ツール 3"]
ai1 -.->|個別実装| tool1
ai1 -.->|個別実装| tool2
ai1 -.->|個別実装| tool3
ai2 -.->|個別実装| tool1
ai2 -.->|個別実装| tool2
ai2 -.->|個別実装| tool3
ai3 -.->|個別実装| tool1
ai3 -.->|個別実装| tool2
ai3 -.->|個別実装| tool3
end
subgraph after["MCP による統合"]
aiM1["AI モデル A"]
aiM2["AI モデル B"]
aiM3["AI モデル C"]
mcp["MCP プロトコル"]
toolM1["ツール 1"]
toolM2["ツール 2"]
toolM3["ツール 3"]
aiM1 -->|標準化| mcp
aiM2 -->|標準化| mcp
aiM3 -->|標準化| mcp
mcp -->|標準化| toolM1
mcp -->|標準化| toolM2
mcp -->|標準化| toolM3
end
M×N 問題の具体例:
- M 個の AI モデルと N 個のツールを連携させるには、M×N 個の統合実装が必要
- 3 つの AI モデルと 10 個のツールなら、30 個の統合コードを書く必要がある
- 新しいツールを追加するたびに、すべての AI モデル向けに実装が必要
この問題により、開発工数が爆発的に増加し、保守コストも膨大になっていました。
セキュリティとプライバシーの懸念
従来の AI 統合では、各ツールが独自の認証・認可メカニズムを実装していたため、セキュリティ管理が複雑でした。
以下のような課題が存在していました:
- 認証情報の分散管理:各ツールで異なる認証方式を採用
- アクセス制御の不統一:権限管理の標準がなく、監査が困難
- クラウド環境での不安:ローカル専用設計で、マルチテナント環境に非対応
デプロイと運用の複雑さ
MCP サーバーの初期バージョンでは、デプロイと運用に専門知識が必要でした。
従来のデプロイフロー:
- 依存関係のインストール(Node.js、Python など)
- 環境変数の設定
- 設定ファイルの編集(JSON 形式)
- サーバーの起動と動作確認
- クライアントへの接続設定
このプロセスは、技術者以外にとってハードルが高く、MCP の普及を妨げる要因となっていました。
リモート接続の実装負担
MCP サーバーをリモート環境でホストする場合、クライアント側で以下の実装が必要でした:
- 接続管理(WebSocket、SSE など)
- ツール検出とメタデータ取得
- エラーハンドリングと再接続ロジック
- 認証・認可処理
これらの実装には高度な専門知識が必要で、開発者の負担となっていました。
解決策
2025 年、MCP は上記の課題を解決する革新的な機能を次々とリリースしました。ここでは、注目すべき 5 つの新機能と技術動向について解説します。
Desktop Extensions:ワンクリックインストールの実現
2025 年 6 月、Anthropic は Desktop Extensions を発表しました。これにより、MCP サーバーのインストールがアプリケーションと同じくらい簡単になりました。
Desktop Extensions の仕組み
Desktop Extensions は .mcpb ファイル形式を採用し、MCP サーバーとすべての依存関係を単一のパッケージにバンドルします。
mermaidflowchart LR
download["mcpb ファイル<br />ダウンロード"]
clickNode["ワンクリック<br />インストール"]
autoNode["自動依存関係<br />解決"]
ready["即座に利用可能"]
download --> clickNode
clickNode --> autoNode
autoNode --> ready
従来との比較:
| # | 項目 | 従来の方式 | Desktop Extensions |
|---|---|---|---|
| 1 | インストール時間 | 15-30 分 | 1-2 分 |
| 2 | 必要な知識 | CLI、依存管理 | なし |
| 3 | エラー発生率 | ★★★ | ★ |
| 4 | 更新の手間 | 手動で各依存を更新 | 自動更新 |
Desktop Extensions の実装例
.mcpb ファイルのマニフェスト構造は以下の通りです:
json{
"name": "example-mcp-server",
"version": "1.0.0",
"description": "サンプル MCP サーバー",
"runtime": {
"type": "node",
"version": ">=18.0.0"
}
}
依存関係の定義では、必要なパッケージをすべて含めます:
json{
"dependencies": {
"@modelcontextprotocol/sdk": "^1.0.0",
"dotenv": "^16.0.0",
"express": "^4.18.0"
}
}
エントリーポイントの指定により、サーバーの起動方法を明示します:
json{
"entrypoint": {
"command": "node",
"args": ["dist/index.js"],
"env": {
"NODE_ENV": "production"
}
}
}
これらの設定を含む .mcpb ファイルをパッケージ化することで、ユーザーは技術的な知識なしにインストールできます。
MCP Connector API:リモート接続の簡素化
2025 年 5 月、Anthropic API に MCP Connector が追加されました。これにより、開発者はクライアントコードを書くことなく、Claude をリモート MCP サーバーに接続できるようになりました。
MCP Connector の主な機能
自動化される処理:
- 接続管理:WebSocket や SSE 接続を API が自動処理
- ツール検出:サーバーが提供する機能を自動で発見
- エラーハンドリング:接続エラーや再接続を自動処理
- 認証・認可:セキュアな認証フローを API が管理
MCP Connector の利用方法
API キーの設定を環境変数で行います:
bash# 環境変数の設定
export ANTHROPIC_API_KEY="sk-ant-xxxxxxxxxxxx"
export MCP_SERVER_URL="https://your-server.example.com/mcp"
Python での MCP Connector 利用例:
pythonimport anthropic
# Anthropic クライアントの初期化
client = anthropic.Anthropic()
MCP サーバーへの接続設定を行います:
python# MCP サーバーに接続
response = client.messages.create(
model="claude-3-5-sonnet-20241022",
max_tokens=1024,
mcp_servers=[
{
"url": "https://your-server.example.com/mcp",
"name": "my-mcp-server"
}
],
messages=[
{
"role": "user",
"content": "データベースから最新の売上情報を取得して"
}
]
)
レスポンスの処理を行います:
python# Claude がMCP ツールを自動で呼び出して結果を返す
print(response.content[0].text)
このように、わずか数行のコードでリモート MCP サーバーと連携できます。従来は数百行必要だった接続管理コードが不要になりました。
Elicitation 機能:対話的な情報収集
2025 年 6 月 18 日版で追加された Elicitation 機能は、MCP サーバーが実行中にユーザーから動的に情報を収集できる画期的な機能です。
Elicitation の動作フロー
mermaidsequenceDiagram
participant User as ユーザー
participant Client as MCP クライアント
participant Server as MCP サーバー
participant Tool as 外部ツール
User->>Client: タスク実行を依頼
Client->>Server: ツール呼び出し
Server->>Client: 追加情報を要求<br/>(Elicitation)
Client->>User: 情報入力を促す
User->>Client: 必要な情報を入力
Client->>Server: 情報を送信
Server->>Tool: ツール実行
Tool->>Server: 結果を返す
Server->>Client: 最終結果
Client->>User: 結果を表示
Elicitation の利点:
- ユーザーとの対話的な処理が可能
- 実行時に必要な情報だけを収集
- セキュアな情報入力(パスワードなど)
Elicitation の実装例
TypeScript での Elicitation リクエストの実装:
typescriptimport { Server } from '@modelcontextprotocol/sdk/server/index.js';
import { StdioServerTransport } from '@modelcontextprotocol/sdk/server/stdio.js';
// MCP サーバーの初期化
const server = new Server(
{
name: 'elicitation-demo',
version: '1.0.0',
},
{
capabilities: {
tools: {},
elicitation: {}, // Elicitation 機能を有効化
},
}
);
ツール実行時に追加情報を要求する例:
typescript// ツールの定義
server.setRequestHandler('tools/call', async (request) => {
if (request.params.name === 'send-email') {
// メール送信前に確認を求める
const confirmation = await server.elicit({
type: 'confirmation',
message: 'このメールを送信してもよろしいですか?',
details: {
to: request.params.arguments.to,
subject: request.params.arguments.subject,
},
});
if (!confirmation.approved) {
return {
content: [
{
type: 'text',
text: 'メール送信がキャンセルされました',
},
],
};
}
// 確認後にメール送信を実行
// ...実装省略
}
});
パスワードなど機密情報を安全に収集する例:
typescript// セキュアな情報収集
const password = await server.elicit({
type: 'secret',
message: 'データベースのパスワードを入力してください',
masked: true, // 入力をマスク表示
});
この機能により、従来は事前設定が必要だった情報を、実行時に動的に収集できるようになりました。
セキュリティ強化:OAuth 2.1 と RFC 8707 対応
2025 年版 MCP では、エンタープライズグレードのセキュリティが実装されました。
OAuth 2.1 による認証強化
MCP サーバーは OAuth 2.1 リソースサーバーとして動作し、標準的な認証フローをサポートします。
認証フロー:
mermaidsequenceDiagram
participant User as ユーザー
participant Client as MCP クライアント
participant AuthServer as 認証サーバー
participant MCPServer as MCP サーバー
User->>Client: MCP サーバーへアクセス
Client->>AuthServer: 認証リクエスト
AuthServer->>User: ログイン画面表示
User->>AuthServer: 認証情報入力
AuthServer->>Client: アクセストークン発行
Client->>MCPServer: トークン付きリクエスト
MCPServer->>MCPServer: トークン検証
MCPServer->>Client: リソースへアクセス許可
OAuth 2.1 設定ファイルの例:
json{
"oauth": {
"version": "2.1",
"authorization_endpoint": "https://auth.example.com/authorize",
"token_endpoint": "https://auth.example.com/token",
"scopes": ["mcp:read", "mcp:write", "mcp:execute"]
}
}
RFC 8707 リソースインジケータの実装
RFC 8707 により、アクセストークンのスコープをリソース単位で細かく制御できます。
リソースインジケータの設定例:
json{
"resources": [
{
"uri": "https://mcp.example.com/database",
"scopes": ["read", "write"]
},
{
"uri": "https://mcp.example.com/files",
"scopes": ["read"]
}
]
}
トークンリクエスト時のリソース指定:
bash# アクセストークンの取得
curl -X POST https://auth.example.com/token \
-H "Content-Type: application/x-www-form-urlencoded" \
-d "grant_type=client_credentials" \
-d "client_id=your_client_id" \
-d "client_secret=your_client_secret" \
-d "resource=https://mcp.example.com/database" \
-d "scope=read write"
これにより、最小権限の原則に基づいたアクセス制御が実現できます。
Code Execution with MCP:コードファーストアプローチ
2025 年 11 月、Anthropic は「Code Execution with MCP」という新しいパターンを発表しました。これは、MCP ツールを直接呼び出すのではなく、AI モデルにコードを書かせて実行させるアプローチです。
従来のツール呼び出しとの比較
mermaidflowchart TB
subgraph traditional["従来のアプローチ"]
aiT1["AI モデル"]
toolT1["MCP ツール呼び出し"]
execT1["ツール実行"]
aiT1 -->|"ツール名と引数を指定"| toolT1
toolT1 -->|"固定処理"| execT1
end
subgraph code["Code Execution with MCP"]
aiC1["AI モデル"]
codeC1["コード生成"]
apiC1["MCP API 呼び出し"]
execC1["コード実行"]
aiC1 -->|"Python/JS コード"| codeC1
codeC1 -->|"MCP を API として利用"| apiC1
apiC1 -->|"柔軟な処理"| execC1
end
Code Execution with MCP の利点:
- 複雑なロジックをコードで表現できる
- MCP ツールを API ライブラリとして扱える
- エラーハンドリングや条件分岐が柔軟
- 中間結果の加工や組み合わせが容易
Code Execution の実装例
Python での MCP API 利用例:
python# MCP サーバーの機能を Python API として利用
from mcp_sdk import MCPClient
# クライアント初期化
client = MCPClient(server_url="https://mcp.example.com")
データ取得と加工の例:
python# データベースから売上データを取得
sales_data = client.database.query(
sql="SELECT date, amount FROM sales WHERE date >= '2025-01-01'"
)
# データを加工(Python の標準ライブラリを活用)
import pandas as pd
df = pd.DataFrame(sales_data)
monthly_sales = df.groupby(df['date'].dt.month)['amount'].sum()
複数の MCP ツールを組み合わせた処理:
python# 加工結果をスプレッドシートに保存
client.spreadsheet.write(
sheet_name="2025年売上サマリー",
data=monthly_sales.to_dict()
)
# Slack に通知
client.notification.send(
channel="#sales-reports",
message=f"2025年の月次売上レポートを更新しました: {monthly_sales.sum():.2f}円"
)
このアプローチにより、AI モデルは MCP の機能を自由に組み合わせて、複雑なタスクを実行できます。
具体例
企業での採用事例
2025 年、MCP は主要な AI プロバイダーとエンタープライズ企業に広く採用されました。
OpenAI の MCP 採用(2025 年 3 月)
OpenAI は 2025 年 3 月に MCP の正式採用を発表しました。ChatGPT と Agents SDK の両方で MCP サポートが提供されています。
ChatGPT での MCP 利用フロー:
mermaidflowchart LR
user["ユーザー"]
chatgpt["ChatGPT"]
mcp["MCP サーバー"]
tools["各種ツール<br/>(DB、API、ファイルなど)"]
user -->|"自然言語で依頼"| chatgpt
chatgpt -->|"MCP プロトコル"| mcp
mcp -->|"標準インターフェース"| tools
tools -->|"結果"| mcp
mcp -->|"統一形式"| chatgpt
chatgpt -->|"自然言語で回答"| user
Agents SDK での実装例(TypeScript):
typescriptimport { Agent } from '@openai/agents-sdk';
// MCP サーバーを利用するエージェントの作成
const agent = new Agent({
model: 'gpt-4-turbo',
mcpServers: [
{
name: 'database-server',
url: 'https://mcp.example.com/database',
},
],
});
エージェントの実行例:
typescript// エージェントにタスクを依頼
const result = await agent.run(
'2025年1月の売上トップ10商品を取得して、グラフを作成してください'
);
console.log(result.output);
// エージェントが自動的にMCPサーバーを利用してデータ取得・グラフ生成
Google Gemini の対応(2025 年 4 月)
Google の Demis Hassabis CEO は 2025 年 4 月、Gemini モデルでの MCP サポートを発表しました。
Gemini での MCP 設定例:
pythonimport google.generativeai as genai
# Gemini モデルの初期化
model = genai.GenerativeModel(
model_name="gemini-2.0-pro",
mcp_config={
"servers": [
{
"name": "company-data",
"url": "https://internal-mcp.company.com"
}
]
}
)
AWS MCP Proxy(2025 年 10 月)
AWS は 2025 年 10 月 31 日、Model Context Protocol (MCP) Proxy for AWS の一般提供を開始しました。
AWS MCP Proxy の特徴:
| # | 機能 | 説明 |
|---|---|---|
| 1 | SigV4 認証 | AWS の標準認証を利用 |
| 2 | マネージドサービス | インフラ管理が不要 |
| 3 | スケーラビリティ | 自動スケーリング対応 |
| 4 | 統合 | AWS サービスとシームレスに連携 |
AWS CDK での MCP Proxy デプロイ例:
typescriptimport * as cdk from 'aws-cdk-lib';
import * as mcpProxy from 'aws-cdk-lib/aws-mcp-proxy';
// MCP Proxy のスタック定義
export class McpProxyStack extends cdk.Stack {
constructor(scope: cdk.App, id: string, props?: cdk.StackProps) {
super(scope, id, props);
MCP サーバーの設定を行います:
typescript// MCP サーバーの作成
const server = new mcpProxy.Server(this, 'MyMcpServer', {
serverName: 'company-data-server',
runtime: mcpProxy.Runtime.NODEJS_18,
handler: 'index.handler',
code: mcpProxy.Code.fromAsset('lambda'),
});
認証とアクセス制御の設定:
typescript // 認証設定
server.addToRolePolicy(new iam.PolicyStatement({
actions: ['s3:GetObject', 'dynamodb:Query'],
resources: ['*'],
}));
}
}
Atlassian の Remote MCP Server
Atlassian は Jira と Confluence 向けの Remote MCP Server をリリースしました。これにより、Claude から直接 Jira のチケットや Confluence のドキュメントにアクセスできます。
Claude Desktop での設定例:
json{
"mcpServers": {
"atlassian": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@atlassian/mcp-server-atlassian"],
"env": {
"ATLASSIAN_CLOUD_ID": "your-cloud-id",
"ATLASSIAN_API_TOKEN": "your-api-token"
}
}
}
}
Claude での利用例:
iniユーザー: 今週オープンされた重要度の高いバグチケットを教えて
Claude: Jira を確認しますね。
[MCPサーバーを通じてJiraにアクセス]
今週オープンされた重要度「高」のバグは以下の3件です:
1. [BUG-123] ログイン時のタイムアウトエラー
2. [BUG-124] 決済処理の失敗
3. [BUG-125] データ同期の遅延
実践的な MCP サーバー構築例
ここでは、実際に動作する MCP サーバーを構築する手順を示します。
プロジェクトのセットアップ
プロジェクトディレクトリを作成します:
bash# プロジェクトディレクトリの作成
mkdir my-mcp-server
cd my-mcp-server
# Yarnでプロジェクト初期化
yarn init -y
必要な依存関係をインストールします:
bash# MCP SDK とその他の依存関係をインストール
yarn add @modelcontextprotocol/sdk
yarn add -D typescript @types/node
TypeScript の設定ファイルを作成します:
json{
"compilerOptions": {
"target": "ES2022",
"module": "Node16",
"moduleResolution": "Node16",
"outDir": "./dist",
"rootDir": "./src",
"strict": true,
"esModuleInterop": true
}
}
サーバーの実装
基本的なサーバー構造を定義します(src/index.ts):
typescriptimport { Server } from '@modelcontextprotocol/sdk/server/index.js';
import { StdioServerTransport } from '@modelcontextprotocol/sdk/server/stdio.js';
import {
ListToolsRequestSchema,
CallToolRequestSchema,
} from '@modelcontextprotocol/sdk/types.js';
サーバーインスタンスを作成します:
typescript// サーバーの初期化
const server = new Server(
{
name: 'example-mcp-server',
version: '1.0.0',
},
{
capabilities: {
tools: {}, // ツール機能を有効化
},
}
);
ツールのリスト提供を実装します:
typescript// 利用可能なツールのリストを返す
server.setRequestHandler(
ListToolsRequestSchema,
async () => {
return {
tools: [
{
name: 'get-weather',
description:
'指定された都市の天気情報を取得します',
inputSchema: {
type: 'object',
properties: {
city: {
type: 'string',
description: '都市名(例:Tokyo)',
},
},
required: ['city'],
},
},
],
};
}
);
ツールの実行ロジックを実装します:
typescript// ツール実行のハンドラ
server.setRequestHandler(
CallToolRequestSchema,
async (request) => {
if (request.params.name === 'get-weather') {
const city = request.params.arguments?.city as string;
// 実際のAPIを呼び出す(ここでは簡略化)
const weather = await fetchWeather(city);
return {
content: [
{
type: 'text',
text: `${city}の天気: ${weather.condition}, 気温: ${weather.temperature}°C`,
},
],
};
}
throw new Error(`Unknown tool: ${request.params.name}`);
}
);
サーバーを起動します:
typescript// サーバーの起動
async function main() {
const transport = new StdioServerTransport();
await server.connect(transport);
console.error('MCP Server running on stdio');
}
main().catch(console.error);
ビルドと実行
ビルドスクリプトを package.json に追加します:
json{
"scripts": {
"build": "tsc",
"start": "node dist/index.js"
}
}
サーバーをビルドして実行します:
bash# TypeScript をコンパイル
yarn build
# サーバーを起動
yarn start
Claude Desktop での接続設定
Claude Desktop の設定ファイル(~/.config/claude/config.json)に追加します:
json{
"mcpServers": {
"my-weather-server": {
"command": "node",
"args": ["/path/to/my-mcp-server/dist/index.js"]
}
}
}
これで Claude Desktop から天気情報を取得できるようになります。
エラーハンドリングのベストプラクティス
MCP サーバーでは、適切なエラーハンドリングが重要です。
一般的なエラーとその対処法
Error -32600: Invalid Request
このエラーは、リクエストの形式が不正な場合に発生します。
typescript// エラーハンドリングの実装
server.setRequestHandler(
CallToolRequestSchema,
async (request) => {
try {
// 引数の検証
if (!request.params.arguments) {
throw new Error(
'Error -32600: 引数が指定されていません'
);
}
// ツール実行
return await executeTool(request.params);
} catch (error) {
return {
content: [
{
type: 'text',
text: `エラーが発生しました: ${error.message}`,
},
],
isError: true,
};
}
}
);
Error -32601: Method not found
サポートされていないメソッドが呼ばれた場合のエラーです。
typescript// サポートされているツールの確認
const SUPPORTED_TOOLS = [
'get-weather',
'get-news',
'search',
];
server.setRequestHandler(
CallToolRequestSchema,
async (request) => {
if (!SUPPORTED_TOOLS.includes(request.params.name)) {
throw new Error(
`Error -32601: ツール '${request.params.name}' は存在しません。` +
`利用可能なツール: ${SUPPORTED_TOOLS.join(', ')}`
);
}
// ツール実行...
}
);
Error -32602: Invalid params
パラメータが不正な場合のエラーハンドリング:
typescript// パラメータのバリデーション
function validateWeatherParams(args: unknown) {
if (typeof args !== 'object' || args === null) {
throw new Error(
'Error -32602: 引数はオブジェクトである必要があります'
);
}
const params = args as Record<string, unknown>;
if (typeof params.city !== 'string') {
throw new Error(
"Error -32602: 'city' パラメータは文字列である必要があります"
);
}
if (params.city.length === 0) {
throw new Error(
"Error -32602: 'city' パラメータは空文字列にできません"
);
}
return params as { city: string };
}
タイムアウトとリトライ処理
外部 API を呼び出す際は、タイムアウトとリトライを実装します:
typescript// タイムアウト付きフェッチ
async function fetchWithTimeout(
url: string,
timeout: number = 5000
): Promise<Response> {
const controller = new AbortController();
const id = setTimeout(() => controller.abort(), timeout);
try {
const response = await fetch(url, {
signal: controller.signal,
});
clearTimeout(id);
return response;
} catch (error) {
clearTimeout(id);
if (error.name === 'AbortError') {
throw new Error(
`Error: リクエストがタイムアウトしました(${timeout}ms)`
);
}
throw error;
}
}
リトライロジックの実装:
typescript// 指数バックオフでリトライ
async function retryWithBackoff<T>(
fn: () => Promise<T>,
maxRetries: number = 3
): Promise<T> {
for (let i = 0; i < maxRetries; i++) {
try {
return await fn();
} catch (error) {
if (i === maxRetries - 1) throw error;
const delay = Math.pow(2, i) * 1000; // 1秒、2秒、4秒...
console.error(
`リトライ ${
i + 1
}/${maxRetries} (${delay}ms後に再試行)`
);
await new Promise((resolve) =>
setTimeout(resolve, delay)
);
}
}
throw new Error('リトライ回数の上限に達しました');
}
これらのエラーハンドリングにより、本番環境でも安定した MCP サーバーを運用できます。
パフォーマンス最適化のテクニック
プロンプトキャッシングの活用
2025 年版 MCP では、プロンプトキャッシングが最大 60 分間有効になりました。これを活用することで、コストを大幅に削減できます。
キャッシングの効果:
| # | 項目 | キャッシングなし | キャッシングあり |
|---|---|---|---|
| 1 | レスポンス時間 | 2-3 秒 | 0.5-1 秒 |
| 2 | API コスト | $0.10/リクエスト | $0.01/リクエスト |
| 3 | トークン使用量 | 100% | 10-20% |
キャッシング対応の実装例:
typescript// キャッシング設定を含むリクエスト
const response = await client.messages.create({
model: 'claude-3-5-sonnet-20241022',
max_tokens: 1024,
system: [
{
type: 'text',
text: 'あなたは技術サポート担当です。',
cache_control: { type: 'ephemeral' }, // 60分間キャッシュ
},
],
messages: [
{
role: 'user',
content: 'ログインエラーの解決方法を教えて',
},
],
});
まとめ
2025 年、Model Context Protocol は AI 統合の標準として確固たる地位を築きました。本記事で紹介した新機能と技術動向をまとめます。
主要な新機能
Desktop Extensionsにより、MCP サーバーのインストールが劇的に簡単になりました。技術者でなくても、ワンクリックで高度な AI ツール連携が実現できます。
MCP Connector APIは、リモート MCP サーバーへの接続を完全に自動化し、開発者の実装負担を大幅に削減しました。わずか数行のコードで、エンタープライズグレードの AI システムを構築できます。
Elicitation 機能は、実行時の対話的な情報収集を可能にし、より柔軟で安全な AI ワークフローを実現しています。
セキュリティ強化では、OAuth 2.1 と RFC 8707 対応により、エンタープライズ環境でも安心して MCP を導入できるようになりました。
Code Execution with MCPは、AI モデルの能力を最大限に引き出す革新的なアプローチです。MCP ツールをコードレベルの API として扱うことで、複雑なタスクを柔軟に実行できます。
業界での普及
OpenAI、Google、Microsoft、AWS といった主要プレイヤーが MCP を採用し、AI 統合の事実上の標準となりつつあります。Atlassian、Confluent などのエンタープライズ企業も次々と MCP サーバーをリリースしています。
今後の展望
MCP は「AI における TCP/IP」として、今後さらに重要性を増していくでしょう。標準化されたプロトコルにより、AI エコシステム全体の相互運用性が向上し、開発者は特定のプラットフォームに縛られることなく、最適なツールを自由に組み合わせられます。
2025 年の新機能は、MCP をより使いやすく、より安全に、より強力にしました。これから MCP を導入する方にとって、今が最適なタイミングと言えるでしょう。
本記事で紹介した実装例を参考に、ぜひ皆様のプロジェクトでも MCP を活用してみてください。AI とツールの連携がこれまで以上にスムーズになり、開発の生産性が飛躍的に向上することを実感いただけるはずです。
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