SolidJS × Vite:超高速開発環境の構築法

モダンなフロントエンド開発において、開発環境の構築は成功への第一歩となります。今回は、次世代のリアクティブ UI ライブラリである SolidJS と、超高速ビルドツール Vite を組み合わせた最適化された開発環境の構築方法をご紹介します。
この組み合わせは、従来の React ベースの開発と比較して驚異的なパフォーマンスを実現し、開発者体験を大幅に向上させてくれます。初心者の方にも分かりやすく、実際のコード例やエラーハンドリングを交えながら解説していきますね。
Vite が SolidJS に最適な理由
Vite の高速性の仕組み
Vite が他のビルドツールと一線を画すのは、その独特なアーキテクチャにあります。開発時にはネイティブ ES モジュールを活用し、本番ビルドでは Rollup ベースの最適化を行うことで、両方の世界の良いところを取り入れているんです。
具体的には以下のような仕組みで高速性を実現しています:
# | 特徴 | 従来のツール | Vite |
---|---|---|---|
1 | 開発時バンドル | 全ファイルをバンドル | ES モジュールで直接読み込み |
2 | 起動時間 | プロジェクト規模に比例 | 常に高速(数秒以内) |
3 | ホットリロード | 変更ファイル周辺を再ビルド | 変更ファイルのみ更新 |
4 | 依存関係処理 | 毎回解析 | 事前バンドル+キャッシュ |
SolidJS との相性が良い理由
SolidJS と Vite の組み合わせが特に優れている理由は、両者が共にパフォーマンスを最優先に設計されているからです。SolidJS のコンパイル時最適化と Vite の高速ビルドが相乗効果を生み、他では体験できない開発スピードを実現します。
特に注目すべきは以下の点です:
- 細かい粒度のリアクティビティ: SolidJS は仮想 DOM を使わず、実際の DOM を直接更新するため、Vite の高速 HMR(Hot Module Replacement)との相性が抜群
- 小さなバンドルサイズ: SolidJS のコンパイル時最適化により、Vite でビルドした際の最終成果物が非常にコンパクト
- TypeScript サポート: 両者とも TypeScript ファーストで設計されており、設定なしで最高の開発体験を提供
他のビルドツールとの比較
実際の数値で比較してみると、その差は歴然としています:
# | ツール | 初回起動時間 | HMR 速度 | ビルド時間(小規模) |
---|---|---|---|---|
1 | Vite | ~2 秒 | <100ms | ~10 秒 |
2 | Webpack | ~30 秒 | ~1 秒 | ~45 秒 |
3 | Parcel | ~15 秒 | ~500ms | ~25 秒 |
4 | esbuild | ~5 秒 | ~200ms | ~3 秒 |
基本プロジェクトのセットアップ
create-solid テンプレートの活用
まずは、公式テンプレートを使用してプロジェクトを作成しましょう。この方法が最も確実で、初期設定が最適化されています。
以下のコマンドでプロジェクトを作成します:
bashyarn create solid my-solid-app
テンプレート選択画面では、以下のオプションから選択できます:
bash? Which template would you like to use?
❯ basic (基本的なSolidJSプロジェクト)
typescript (TypeScript対応版)
minimal (最小構成)
router (SolidJS Router付き)
tailwindcss (TailwindCSS統合版)
TypeScript 環境を推奨しますので、typescript
を選択することをおすすめします。
プロジェクトが作成されたら、以下のコマンドで依存関係をインストールし、開発サーバーを起動します:
bashcd my-solid-app
yarn install
yarn dev
プロジェクト構造の理解
作成されたプロジェクトの構造を確認してみましょう:
csharpmy-solid-app/
├── src/
│ ├── App.tsx # メインアプリケーションコンポーネント
│ ├── index.tsx # エントリーポイント
│ └── index.css # グローバルスタイル
├── public/ # 静的ファイル
├── dist/ # ビルド成果物(自動生成)
├── node_modules/ # 依存関係
├── package.json # プロジェクト設定
├── tsconfig.json # TypeScript設定
├── vite.config.ts # Vite設定ファイル
└── yarn.lock # 依存関係ロックファイル
この構造で特に重要なのはvite.config.ts
ファイルです。ここで Vite の動作をカスタマイズできます。
初期設定のカスタマイズ
vite.config.ts
ファイルを開いて、基本的なカスタマイズを行いましょう:
typescriptimport { defineConfig } from 'vite';
import solid from 'vite-plugin-solid';
export default defineConfig({
plugins: [solid()],
server: {
port: 3000,
open: true, // 開発サーバー起動時にブラウザを自動で開く
host: true, // ネットワーク接続を許可
},
build: {
target: 'esnext',
sourcemap: true,
},
});
上記の設定により、開発時の利便性が向上し、デバッグも行いやすくなります。
もし設定ファイルに問題がある場合、以下のようなエラーが表示されることがあります:
bash[ERROR] Could not resolve "vite-plugin-solid"
node_modules/vite/dist/node/chunks/dep-df561101.js:50765:15:
50765 │ const err = new Error(message)
╵ ^
このエラーが発生した場合は、以下のコマンドでプラグインを再インストールしてください:
bashyarn add -D vite-plugin-solid
開発サーバーの最適化
ホットリロード設定
Vite の HMR(Hot Module Replacement)は標準で優秀ですが、SolidJS 特有の設定を追加することで、さらに快適な開発体験を実現できます。
vite.config.ts
に HMR 設定を追加しましょう:
typescriptimport { defineConfig } from 'vite';
import solid from 'vite-plugin-solid';
export default defineConfig({
plugins: [
solid({
hot: true, // HMRを有効化
dev: true, // 開発時の最適化を有効化
}),
],
server: {
hmr: {
overlay: true, // エラーをブラウザにオーバーレイ表示
clientPort: 3000,
},
},
});
この設定により、コードを変更した際にページ全体がリロードされることなく、変更された部分のみが即座に更新されるようになります。
プロキシ設定と API 連携
バックエンド API との連携を行う場合、CORS エラーを回避するためにプロキシ設定が必要になることがあります。
以下のように設定することで、開発時に API サーバーへのリクエストをプロキシできます:
typescriptexport default defineConfig({
plugins: [solid()],
server: {
proxy: {
'/api': {
target: 'http://localhost:8080',
changeOrigin: true,
rewrite: (path) => path.replace(/^\/api/, ''),
},
},
},
});
この設定により、フロントエンド側から/api/users
にリクエストを送ると、実際にはhttp://localhost:8080/users
にプロキシされます。
プロキシ設定に問題がある場合、以下のようなエラーが表示されることがあります:
bash[vite] http proxy error:
Error: connect ECONNREFUSED 127.0.0.1:8080
at TCPConnectWrap.afterConnect [as oncomplete] (node:net:1300:16)
このエラーは、指定されたポートで API サーバーが起動していない場合に発生します。API サーバーが正常に動作していることを確認してください。
開発用プラグインの導入
開発効率を向上させるために、有用なプラグインを導入しましょう。
まず、必要なプラグインをインストールします:
bashyarn add -D @vitejs/plugin-legacy vite-plugin-eslint vite-plugin-checker
次に、vite.config.ts
に設定を追加します:
typescriptimport { defineConfig } from 'vite';
import solid from 'vite-plugin-solid';
import legacy from '@vitejs/plugin-legacy';
import eslint from 'vite-plugin-eslint';
import checker from 'vite-plugin-checker';
export default defineConfig({
plugins: [
solid(),
eslint({
cache: false,
include: ['src/**/*.ts', 'src/**/*.tsx'],
}),
checker({
typescript: true,
eslint: {
lintCommand: 'eslint "./src/**/*.{ts,tsx}"',
},
}),
legacy({
targets: ['defaults', 'not IE 11'],
}),
],
});
これらのプラグインにより、以下の機能が追加されます:
# | プラグイン | 機能 |
---|---|---|
1 | vite-plugin-eslint | リアルタイムで ESLint チェック |
2 | vite-plugin-checker | TypeScript エラーのリアルタイム表示 |
3 | @vitejs/plugin-legacy | 古いブラウザ対応 |
ビルド設定の最適化
本番ビルドの高速化
本番環境向けのビルドを最適化するために、以下の設定をvite.config.ts
に追加しましょう:
typescriptexport default defineConfig({
plugins: [solid()],
build: {
target: 'esnext',
minify: 'esbuild', // 高速な圧縮
sourcemap: false, // 本番では無効化
rollupOptions: {
output: {
manualChunks: {
vendor: ['solid-js'],
utils: ['./src/utils/index.ts'],
},
},
},
chunkSizeWarningLimit: 600,
},
});
バンドルサイズの最適化
バンドルサイズを最小化するために、Tree Shaking と動的インポートを活用しましょう。
まず、不要なインポートを除去する設定を追加します:
typescriptexport default defineConfig({
build: {
rollupOptions: {
external: (id) => {
// 開発時のみ使用するライブラリを除外
return (
id.includes('node_modules') &&
(id.includes('dev') || id.includes('test'))
);
},
},
},
});
大きなライブラリは動的インポートを使用して遅延読み込みを行います:
typescript// 従来の方法(避けるべき)
import { heavyLibrary } from 'heavy-library';
// 最適化された方法
const loadHeavyLibrary = async () => {
const { heavyLibrary } = await import('heavy-library');
return heavyLibrary;
};
デプロイ設定
ビルドが完了したら、以下のコマンドで本番環境向けのファイルを生成できます:
bashyarn build
ビルドが成功すると、以下のような出力が表示されます:
bash✓ building for production...
✓ built in 2.48s
dist/assets/index-4f7d0b2e.css 1.20 kB │ gzip: 0.63 kB
dist/assets/index-8f4c9d1a.js 15.42 kB │ gzip: 5.87 kB
もしビルドでエラーが発生した場合、以下のようなメッセージが表示されることがあります:
bash✗ Error: Build failed with 1 error:
src/App.tsx:10:15: ERROR: Could not resolve "./nonexistent-module"
このエラーは、存在しないモジュールを参照している場合に発生します。該当するファイルパスを確認し、正しいインポートパスに修正してください。
静的ファイルホスティングサービス(Netlify、Vercel 等)にデプロイする場合は、dist
フォルダの内容をアップロードします。
まとめ
SolidJS × Vite の組み合わせは、現代のフロントエンド開発において最高峰のパフォーマンスと開発者体験を提供してくれます。本記事でご紹介した設定により、以下のメリットを享受できるでしょう。
パフォーマンス面での利点:
- 開発サーバーの超高速起動(2 秒以内)
- 瞬時のホットリロード(100ms 以下)
- 最適化されたバンドルサイズ
- 優れた Tree Shaking 効果
開発体験の向上:
- リアルタイムエラー表示
- TypeScript の完全サポート
- 直感的な設定ファイル
- 豊富なプラグインエコシステム
これらの設定を基にして、さらに自分のプロジェクトに合わせたカスタマイズを行っていくことで、より快適で効率的な開発環境を構築できます。
現代の Web アプリケーション開発では、このような高速な開発環境が競合他社との差別化要因にもなりますので、ぜひ積極的に導入を検討してみてくださいね。
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