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子育ての悩みが一気に解決!『子どもの心のコーチング』菅原裕子

子育ての悩みが一気に解決!『子どもの心のコーチング』菅原裕子

今回は菅原裕子さんが執筆された『子どもの心のコーチング』を紹介します。 「何度言っても宿題をしない」「部屋を片付けない」「朝の準備が遅い」... そんな日々の子育ての悩みに心当たりのある方にこそ読んでほしい一冊です。 この本は、従来の「指示・命令」中心の子育てから「コーチング」という新しいアプローチへの転換を教えてくれます。 子どもの問題行動の根本原因を理解し、親子でハッピーになれる解決策が見つかります!

この本の概要

本書は、日本における親のコーチング第一人者である菅原裕子さんが、20 年以上の実践経験をもとに書き上げた子育てのバイブルです。 コーチングとは「相手の中にある答えを引き出す」技術で、ビジネス界で注目されている手法を子育てに応用したものです。

子どもの心のコーチング 一人で考え、一人でできる子の育て方 菅原 裕子 (著)

子どもの心のコーチング 一人で考え、一人でできる子の育て方 菅原 裕子 (著)

従来の子育てとコーチング的子育ての違い

多くの親が陥りがちな「指示・命令型」の子育てと、コーチング的な子育ての根本的な違いを明確にしています。

指示・命令型の子育て(従来型)

  • 親が答えを持っている前提: 「こうしなさい」「あれはダメ」
  • 短期的な結果重視: とりあえず言うことを聞かせる
  • 外発的動機に依存: 褒美や罰で行動をコントロール
  • 依存的な関係: 親がいないと何もできない子になる

コーチング型の子育て(提唱型)

  • 子どもの中に答えがある前提: 「どう思う?」「どうしたい?」
  • 長期的な成長重視: 子ども自身の考える力を育てる
  • 内発的動機を育む: 自分で考え、自分で決める喜びを体験
  • 自立的な関係: 一人で考え、一人でできる子に育つ

なぜ子どもは言うことを聞かないのか?

本書では、子どもの「問題行動」の背景にある心理的なニーズを詳しく解説しています。

子どもの 4 つの基本的ニーズ

1. 注目されたい(関心・注目)
  • 親に自分を見てもらいたい
  • 存在を認めてもらいたい
  • 話を聞いてもらいたい
2. 力を感じたい(権力・力)
  • 自分で決めたい
  • コントロールされたくない
  • 自分の力を試したい
3. 復讐したい(復讐)
  • 傷つけられた気持ちを表現したい
  • 親に同じ痛みを味わわせたい
  • 理解されない怒りを表現したい
4. 諦めている(無力感)
  • どうせできないと思っている
  • 期待に応えられない絶望感
  • やる気を失った状態

これらのニーズが満たされていない時、子どもは「問題行動」として表現するのです。

よくある子育ての悩みと解決策

「宿題をしない」問題の解決法

多くの親が頭を悩ませる「宿題問題」について、コーチング的なアプローチを詳しく解説しています。

従来の対応(効果が薄い)
  • 「宿題しなさい!」と毎日命令する
  • 「宿題が終わったらゲームしていいよ」と条件をつける
  • 「宿題しないと明日困るよ」と脅す
  • 親が横について監視する
コーチング的な対応(効果的)

ステップ 1: 子どもの気持ちを聞く

  • 「宿題について、どう思ってる?」
  • 「何か困っていることはある?」
  • 「宿題をやる気になれない理由は何かな?」

ステップ 2: 一緒に解決策を考える

  • 「どうしたら宿題に取り組みやすくなると思う?」
  • 「いつやるのが一番集中できそう?」
  • 「どんなサポートがあったら嬉しい?」

ステップ 3: 子ども自身に決めてもらう

  • 「じゃあ、どうする?」
  • 「いつから始めてみる?」
  • 「うまくいかなかったら、また一緒に考えよう」
実際の会話例
親:「宿題、どんな感じ?」
子:「難しくて嫌になる...」
親:「そうなんだ。どの部分が難しいの?」
子:「算数の文章問題が分からない」
親:「なるほど。どうしたら分かりやすくなるかな?」
子:「例題をもう一回見てみようかな」
親:「いいアイデアだね。他に何かサポートできることある?」
子:「分からない時だけ聞いてもいい?」
親:「もちろん!いつやる?」
子:「夕食前にやってみる」

「片付けができない」問題の解決法

散らかった部屋を見てイライラする親は多いでしょう。コーチング的なアプローチで、子ども自身が片付けたくなる方法を紹介しています。

問題の根本原因を探る
  • 片付け方が分からない: 具体的な方法を知らない
  • 物が多すぎる: 収納能力を超えている
  • 片付ける理由が見つからない: 内発的動機がない
  • 他のことに夢中: 優先順位が違う
コーチング的な解決アプローチ

質問を使って気づきを促す

  • 「この部屋、どう思う?」
  • 「散らかっていると、どんな気持ちになる?」
  • 「きれいな部屋だと、どんなことができそう?」
  • 「どうしたら片付けやすくなるかな?」

一緒に基準を決める

  • 「どのくらいきれいだったら気持ちいい?」
  • 「毎日やること、週末やることを分けてみようか」
  • 「片付けのルールを一緒に作ってみない?」

「朝の準備が遅い」問題の解決法

朝の忙しい時間に子どもの準備が遅くてイライラ...そんな悩みも、コーチングで解決できます。

時間感覚を育てる質問
  • 「学校に間に合うには、何時に家を出る必要があるかな?」
  • 「準備にはどのくらい時間がかかると思う?」
  • 「逆算すると、何時に起きればいい?」
  • 「スムーズに準備するために、前の晩にできることは何かな?」
子ども主体の計画作り
  • 「明日の朝のスケジュールを一緒に作ってみよう」
  • 「どの順番でやると効率的かな?」
  • 「時間が足りない時はどうする?」

イライラしない子育ての実践方法

親の感情管理テクニック

子育てでイライラするのは当然のこと。大切なのは、そのイライラとどう付き合うかです。

イライラの原因を理解する
  • 期待とのギャップ: 「こうあるべき」という思い込み
  • 時間のプレッシャー: 急いでいる時に子どもがマイペース
  • 完璧主義: 失敗を許せない気持ち
  • 比較: 他の子と比べてしまう
冷静さを取り戻す方法

一呼吸置く

  • 数秒間、深呼吸をする
  • 「今、私はイライラしている」と客観視する
  • 「この状況で、本当に大切なことは何?」と自問する

視点を変える

  • 「この行動の背景にある子どもの気持ちは?」
  • 「長期的に見て、何が大切?」
  • 「今日の出来事が、10 年後に影響するだろうか?」

効果的な質問の技術

コーチングの核心は「質問力」です。適切な質問により、子ども自身が答えを見つけられるようになります。

良い質問の特徴
  • オープンクエスチョン: 「はい・いいえ」で答えられない質問
  • 未来志向: 問題の原因より、解決策に焦点を当てる
  • 選択肢を与える: 子どもが決められる範囲の質問
  • ポジティブ: 可能性や能力を引き出す質問
質問の具体例

現状把握の質問

  • 「今、どんな気持ち?」
  • 「何が一番気になってる?」
  • 「どの部分が難しいの?」

解決策を引き出す質問

  • 「どうしたらうまくいくと思う?」
  • 「他にはどんな方法があるかな?」
  • 「前に似たような時、どうやって解決した?」

行動を促す質問

  • 「最初の一歩は何をする?」
  • 「いつから始めてみる?」
  • 「どんなサポートがあったら嬉しい?」

承認と励ましの技術

子どもの自己肯定感を育むためには、適切な承認が欠かせません。

結果承認と過程承認

結果承認(注意が必要)

  • 「テストで 100 点取ったね!すごい!」
  • 「一番になったね!」

過程承認(推奨)

  • 「毎日コツコツ勉強していたもんね」
  • 「分からない問題を諦めずに考えていたね」
  • 「最後まで頑張ったね」
存在承認の大切さ
  • 「あなたがいてくれて嬉しい」
  • 「あなたの笑顔を見ると元気になる」
  • 「あなたの考え方、面白いね」

長期的な視点での子育て

21 世紀に必要な力を育てる

本書では、変化の激しい現代社会で生きていくために必要な力についても言及しています。

必要な能力
  • 思考力: 自分で考え、判断する力
  • コミュニケーション力: 他者と協力し、自分を表現する力
  • 問題解決力: 困難に直面した時に乗り越える力
  • 創造力: 新しいアイデアを生み出す力
  • レジリエンス: 失敗から立ち直る力
これらの力を育てるコーチング
  • 答えを教えるのではなく、考えさせる
  • 失敗を恐れず挑戦できる環境を作る
  • 子どもの好奇心と興味を大切にする
  • 多様な価値観を認める

親子関係の変化

コーチング的な関わりを続けることで、親子関係も変化していきます。

理想的な親子関係の変遷

幼児期: 保護者として安全を守る 学童期: コーチとして能力を引き出す 思春期: メンターとして相談に乗る 青年期: 対等なパートナーとして関わる

手に取ったきっかけ

私がこの本と出会ったのは、当時小学 2 年生だった息子の宿題問題に頭を悩ませていた時でした。 毎日「宿題しなさい!」と言い続けるのに疲れ果て、親子でバトルを繰り広げる日々にうんざりしていました。

ママ友から「コーチングって知ってる?」と言われ、最初は「コーチング?ビジネスのやつ?子育てに関係あるの?」と半信半疑でした。 しかし、「菅原裕子さんの本を読んでみて」と強く勧められ、藁にもすがる思いで購入しました。

正直、「また新しい育児法の本か...」という気持ちもありましたが、タイトルの「一人で考え、一人でできる子」という言葉に希望を感じて読み始めました。

読んでみて思ったこと

この本を読んで実践した結果、我が家の子育ては本当に変わりました。 何より驚いたのは、子どもだけでなく私自身も変化し、親子関係が格段に良くなったことです。

「質問する」ことの魔法

最も衝撃的だったのは、「命令」を「質問」に変えるだけで、子どもの反応が劇的に変わったことでした。

以前の私は「宿題しなさい!」「早く片付けなさい!」「何度言ったら分かるの!」という命令ばかりでした。 しかし、この本を読んでから「宿題、どうする?」「部屋の状況、どう思う?」「どうしたらうまくいくかな?」という質問に変えました。

最初は「え?どうするって...やるけど...」と戸惑っていた息子でしたが、だんだん自分の考えを話すようになりました。 そして驚いたことに、自分で考えた解決策は自分でちゃんと実行するのです!

例えば、宿題について「いつやるのが一番集中できそう?」と聞いたところ、「お風呂に入る前」と答えました。 自分で決めたルールなので、私が何も言わなくても自分からお風呂前に宿題をするようになったのです。

皆さんも、次に子どもに何かをお願いする時、命令ではなく質問で投げかけてみてください。 子どもの考える力と、自分で決めたことを実行する力に驚かれるはずです。

子どもの「問題行動」の見方が変わった

この本を読む前は、子どもが言うことを聞かないのは「わがまま」や「反抗」だと思っていました。 しかし、問題行動の背景にある 4 つのニーズを知ってから、息子の行動を違った目で見られるようになりました。

ある日、息子が宿題中にふざけて鉛筆を投げたりしていました。 以前なら「ふざけないで!真面目にやりなさい!」と叱っていたと思います。 でも、この本の教えを思い出して「何か気になることがあるの?」と聞いてみました。

すると「この問題、分からないから嫌になっちゃった」と本音を話してくれました。 問題行動の背景には「助けてほしい」というサインが隠れていたのです。 一緒に問題を見直し、解き方を確認すると、その後は集中して取り組めました。

子どもの行動を「問題」として捉えるのではなく、「メッセージ」として受け取ることで、本当に必要なサポートができるようになりました。

イライラが激減した

子育てでイライラしなくなったわけではありませんが、イライラとの付き合い方が変わりました。 この本で学んだ「一呼吸置く」技術は、本当に効果的です。

朝の忙しい時間に息子の準備が遅いと、以前なら「早くしなさい!」と怒鳴っていました。 しかし今は、まず深呼吸をして「この状況で本当に大切なことは何?」と自分に問いかけます。 答えは「息子が自分のペースで準備できるようになること」です。

そう考えると、怒鳴るより「どうしたら時間通りに準備できるかな?」と一緒に考える方が建設的だと分かります。 結果として、息子は自分で朝のスケジュールを作るようになり、私がガミガミ言う必要もなくなりました。

感情的になりそうな時こそ、「長期的に見て何が大切か?」を考えることで、冷静な対応ができるようになりました。

子どもの成長を実感

コーチング的な関わりを続けて 1 年ほど経った頃、息子の成長を実感する出来事がありました。 友達とのトラブルで落ち込んでいた時、以前なら私が解決策を提示していたと思います。

でも今回は「どうしたらいいと思う?」と聞いてみました。 すると息子は「まず相手の気持ちを聞いてみる」「自分の気持ちも伝える」「それでもダメなら先生に相談する」と、段階的な解決策を自分で考えました。

そして実際にその通りに行動し、友達と仲直りできたのです。 「自分で考えて、自分で解決できた!」という達成感に満ちた息子の顔を見た時、コーチングの素晴らしさを心から実感しました。

皆さんのお子さんも、きっと自分で考え、自分で解決する力を持っています。 親がその力を信じて、適切な質問とサポートをすれば、子どもは必ず成長してくれます。

親子の会話が豊かになった

コーチング的な関わりを始めてから、親子の会話が格段に豊かになりました。 以前は「宿題やった?」「明日の準備は?」といった確認や指示が中心でした。

今では「今日はどんなことが楽しかった?」「何か困ったことはある?」「明日はどんな一日にしたい?」など、息子の考えや気持ちを聞く会話が増えました。

息子も最初は慣れませんでしたが、だんだん自分の思いを言葉にするのが上手になりました。 学校であったこと、友達のこと、将来の夢...様々なことを話してくれるようになり、息子の内面をより深く知ることができるようになりました。

何より嬉しいのは、息子が困った時に「お母さん、相談があるんだけど...」と自分から話しかけてくれるようになったことです。 信頼関係が深まり、親子のコミュニケーションが本当に豊かになりました。

最後に

『子どもの心のコーチング』は、日々の子育ての悩みを根本から解決してくれる実践的な一冊です。

この本の最大の価値は、「今すぐ使える具体的なテクニック」と「長期的な視点での子育て哲学」の両方を学べることです。 宿題、片付け、朝の準備といった日常の困りごとから、子どもの将来に必要な力の育て方まで、幅広くカバーしています。

「何度言っても言うことを聞かない」と悩んでいる方、子育てでイライラすることが多い方、子どもの可能性をもっと引き出したい方に、ぜひ一読をおすすめします! この本のコーチング技術を実践すれば、あなたの子育ても必ず変わり、親子でハッピーな毎日を送れるはずです。

子どもの心のコーチング 一人で考え、一人でできる子の育て方 菅原 裕子 (著)

子どもの心のコーチング 一人で考え、一人でできる子の育て方 菅原 裕子 (著)